【第4回】上場来高値更新の「本物」と「ダマシ」を見極める出来高の読み方 では、
上昇の熱量を測るための出来高の重要性について解説しました。
株価が勢いよく上がっている銘柄を探す際、「新高値」という言葉をよく耳にします。
その中でも一般的に注目されるのは「年初来高値」ですが、当ブログでは一貫して「上場来高値」にこだわっています。
なぜ年初来高値では不十分なのか?
今回は、上場来高値だけが持つ「圧倒的な需給の軽さ」と「爆発力」の秘密を解説します。
年初来高値に潜む「やれやれ売り」の壁
年初来高値とは、その年の1月1日から現在までの最高値のことです。
一見強そうに見えますが、実は「過去のしこり(戻り売り圧力)」という大きな弱点を抱えています。
例えば、株価が1年ぶりの高値を更新したとしても、2年、3年前にそれ以上の高値で買って「塩漬け」にしている投資家が残っている場合があります。
こうした投資家は、株価が自分の買値まで戻ってくると「やっと損をせずに売れる」と考え、一斉に売りを出します。これが「やれやれ売り」です。年初来高値銘柄が、あと一歩のところで押し戻されるのは、この数年前の幽霊のような売り注文が原因です。

こちらは資生堂(4911)の2019年から2023年ごろの月足チャートです。2018年に上場来高値を更新して以降、もみ合いが続き、2021年には年初来高値を更新しつつも以前の上値が重くなかなか抜けられず下落、2023年も同じように年初来高値を更新しますが、今度は2021年の高値帯を抜けられず失速してしまっています。
この「しこり」を解消するには、膨大な時間か、それを上回る圧倒的な買い材料が必要です。
一介の個人投資家がわざわざこの重い銘柄に挑む必要はありません。
| 比較項目 | 年初来高値(Yearly High) | 上場来高値(ATH) |
| 戻り売り圧力 | 過去数年の「しこり」が残る | ゼロ(全員が含み益) |
| 上昇のしやすさ | 抵抗線が多く、重い | 真空地帯を走るため軽い |
| 投資家心理 | 「やれやれ売り」が出やすい | 「青天井」への期待感 |
上場来高値は「全員が含み益」のユートピア
一方で、上場来高値を更新した銘柄はどうでしょうか。
この価格帯は、その銘柄が誕生してから一度も足を踏み入れたことのない領域です。つまり、その銘柄を持っている投資家全員が「含み益」の状態になります。
- 戻り売りがゼロ:上に「やれやれ売り」を浴びせる投資家が一人もいません。
- 真空地帯を走る:売り圧力が極端に少ないため、少ない買い注文でも株価が跳ね上がりやすくなります。
この「需給の軽さ」こそが、上場来高値銘柄だけが持つ最大の武器です。
「青天井」が生む投資家心理の連鎖
上場来高値(ATH: All Time High)を突破すると、チャートの右側には何の障害物もなくなります。これを通称「青天井(あおてんじょう)」と呼びます。
この状態になると、投資家心理に変化が起きます。
「どこまで上がるか分からない」という期待がさらなる買いを呼び、空売りをしていた勢力は買い戻し(踏み上げ)を迫られます。
年初来高値はあくまで「今年の中で一番」に過ぎませんが、上場来高値は「その銘柄の歴史の中で一番」。この言葉の重みの差が、モメンタム(勢い)の差となって現れるのです。

こちらは前回の記事でも紹介したさくらインターネット(3778)の週足チャートですが、2023年12月に上場来高値を更新してからしばらくもみ合ったのち、2024年1月に再ブレイク、その後はするすると上がっていき、最終的に数倍(一時5倍以上)になっています。
どちらを狙うべきかは明白
もちろん、年初来高値更新からそのまま上場来高値を突き抜ける銘柄もたくさんあります。
しかし、より効率的に、かつ強いトレンドに乗りたいのであれば、最初から「上に誰もいない銘柄」に絞る方が合理的です。
- 年初来高値:障害物競争。走りながら過去の壁を壊す必要がある。
- 上場来高値:平原の全力疾走。前を遮るものは何もない。
当ブログが「上場来高値」に特化したリストを提供し続けているのは、投資家にとって最も成功確率の高い「需給の恩恵」を享受してほしいからです。
まとめ
「新高値」と一括りにせず、その高値が「歴史的なものか」を確認してみてください。
- 年初来高値には過去の「しこり」が残っているリスクがある
- 上場来高値は全員が含み益であり、戻り売りが存在しない
- 「しこりがない=上昇エネルギーが削がれない」ということ
銘柄選びに迷ったら、まずは「上場来高値」のリストをチェックする。このシンプルな習慣が、あなたの投資パフォーマンスを劇的に変えるかもしれません。


