【ピックアップ銘柄検証】続く嵐の中でも上場来高値を更新した銘柄のその後は?3月第3週の注目株「その後の明暗」

ピックアップ銘柄

今週の相場概況と振り返り

今週の東京市場は、出口の見えない中東情勢に一喜一憂する、極めて神経質な展開となりました。週初の月曜日から年初来安値を割り込む厳しいスタートとなり、原油価格の一時的な落ち着きを受けて買い戻される場面もありましたが、戻りは限定的。26週線を一度も上回ることができず、週を通じて高値・安値ともに切り下がる下降トレンドが鮮明となりました。

月足チャートを確認すると、6ヶ月線が辛うじてサポートとして機能していますが、地政学リスクが好転しない限り、この水準を維持し続けるのは容易ではないでしょう。1月5日を起点とした力強い上昇トレンドは、今回の調整を経て事実上の終焉を迎えたと判断せざるを得ません。

今後の回復シナリオとしては、まず3月18日の直近高値55,239円を明確に上抜けることが「下げ止まり確認」の第一関門となります。さらにその先、2月26日の高値59,332円を奪回して初めてトレンド再開のシグナルとなりますが、目先は底値を探る重苦しい展開が続きそうです。

米国市場も同様に厳しい局面です。S&P500、ナスダック、ダウ平均の主要3指数はいずれも最高値から10%近く下落し、調整色を強めています。特に市場を牽引してきたFANG+指数の下落幅が大きく、主要3指数も昨年5〜6月の水準まで押し戻される可能性を否定できません。年度末を越えてもなお、楽観を許さない状況が続いていきそうです。

サムコ(6387)

3/16に取り上げた銘柄です(下記のチャートの白い矢印が取り上げた日です)。
窓を開けて大きく上昇した取り上げ時から、翌営業日こそ利益確定売りに押されたものの、2023年時の上場来高値でもある7,000円(下のチャートの水平のオレンジの線、2023年時の上場来高値でもあります)を前に力強く切り返しました。取り上げ時から本日までの最安値は7,040円と、7,000円ラインをわずかに上回る水準でサポートが機能した格好です。その後も軟調な全体相場をものともせず、ボリンジャーバンド+2σに沿ったバンドウォークを継続。3月16日に開けた窓こそ完全には埋めていないものの、3月17日の下げから素早く切り返したことで一服感が出ています。

今後の視点: 25日線乖離率は依然として高いものの、高値圏で踏みとどまることで25日線の追いつきを待つ「日柄調整」の形に入っています。このまま高値を維持できるか、あるいは3月16日の窓埋めに向かうかが焦点ですが、週足・月足のトレンドは崩れておらず、押し目買い意欲は依然として強いと考えられます。

ギフトホールディングス(9279)

3/17に取り上げた銘柄です(下記のチャートの白い矢印が取り上げた日です)。
好決算を背景とした爆発的な上昇からそのままバンドウォークへと移行。サムコ同様、窓を開けての急上昇後も大きな調整を見せずに推移しています。取り上げ時から本日までの最安値の騰落率が-2.51%と3月3週の全ピックアップ銘柄中最小のドローダウンを記録しており、業績の裏付けがある銘柄の底堅さを象徴する動きでした。ただし出来高はじわじわと減少傾向にあり、上昇の勢いに落ち着きが見え始めています。

今後の視点 今後の鍵は4,500円前後の出来高帯をサポートとして維持できるかです。この水準をしっかり守れれば、押し目として再び上昇に転じる可能性があります。仮に割り込んだ場合でも、昨年高値圏の4,000円前後(上記チャートのオレンジの線、13週線近く)では強い押し目買いが期待できます。地合いに左右される部分も大きいですが、業績の裏付けがある分、需給の崩れ方は限定的と見ています。

山王(3441)

3/18に取り上げた銘柄です(下記のチャートの白い矢印が取り上げた日です)。
2営業日連続のストップ高からの6年ぶり上場来高値更新という劇的なデビューでしたが、さすがに急上昇の反動か、ピックアップ時から利益確定売りに押される展開が続いています。取り上げ時から本日までの最安値の騰落率は15.46%と今週の全掲載銘柄中最大のドローダウンとなり、初回更新銘柄特有の真空地帯リスクが顕在化した典型例となりました。最高値から約20%の調整となっているものの、直近では下げ渋りの兆しも見え始めています。

今後の視点 まず意識されるのは2,100円前後(上記チャートの水平のオレンジの線、2020年高値水準)をサポートとして機能させられるかどうかです。この水準を維持できれば、反発への期待が高まります。しかしここを明確に割り込んだ場合、その下には目立ったサポートが乏しく、最悪のシナリオでは最初のストップ高地点である1,600円前後まで押し下げられるリスクも否定できません。値幅が大きいだけに、ポジション管理には慎重さが求められる場面です。

アシードホールディングス(9959)

3/19に取り上げた銘柄です(下記のチャートの白い矢印が取り上げた日です)。
ボラティリティのベンチマークとして取り上げた本銘柄は、ジェットコースターのような動きを見せました。わずか1日で最高値から約20%安を記録し、仕手株特有のリスクを改めて市場に知らしめる結果となりました。取り上げ時(3/19終値)からすでに10%近くの下落が続いており、25日線も明確に割り込んでいます。

今後の視点 現在の株価の上方には、2月の急騰で形成された厚い出来高の壁が控えており、これを突き破るのは容易ではありません。仮に突破できたとしても、2018年の高値1,400円前後(上記チャートの水平のオレンジの線)が次の抵抗帯として意識されます。一方、さらに下抜けた場合は出来高の薄い真空地帯が続き、最悪は昨年3月の高値・200日線近辺の700円台後半(上記チャートの水平の青の線)まで下げる可能性も視野に入れておく必要があります。「触らぬ神に祟りなし」という表現が似合う局面かもしれません。

【上場来高値ウォッチ】週次パフォーマンス

私が先週ピックアップした銘柄が、その後どのような軌跡を辿ったのかを数値化して振り返ります。
※同一銘柄を複数回取り上げた場合は、最初の紹介日を基準としています。
※ピックアップした銘柄のパフォーマンスを事後検証するものであり、売買を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。

週次パフォーマンス表(3/16〜3/19 紹介分)

銘柄コード 銘柄名 紹介日 紹介翌日始値 3/27終値 騰落率 損益額 3/27までの
最高値
騰落率 3/27までの
最安値
騰落率 紹介日
52週ATH回数
4091.T 日本酸素ホールディングス 3/16 6,310 5,875 -6.89% -435 6,330 +0.32% 5,691 -9.81% 8回
6387.T サムコ 3/16 8,020 8,500 +5.99% 480 9,150 +14.09% 7,040 -12.22% 1回
8031.T 三井物産 3/17 6,400 6,540 +2.19% 140 6,674 +4.28% 5,819 -9.08% 20回
9107.T 川崎汽船 3/17 2,896 2,770 -4.32% -125 2,964 +2.38% 2,550 -11.92% 1回
9279.T ギフトホールディングス 3/17 4,590 4,815 +4.90% 225 4,855 +5.77% 4,475 -2.51% 3回
1662.T 石油資源開発 3/18 2,754 2,664 -3.27% -90 2,785 +1.13% 2,444 -11.26% 5回
3441.T 山王 3/18 2,581 2,267 -12.17% -314 2,595 +0.54% 2,182 -15.46% 1回
5290.T ベルテクスコーポレーション 3/18 2,036 2,048 +0.59% 12 2,144 +5.30% 1,907 -6.34% 30回
1968.T 太平電業 3/19 3,030 3,105 +2.48% 75 3,200 +5.61% 2,945 -2.81% 28回
9959.T アシードホールディングス 3/19 1,090 1,043 -4.31% -47 1,223 +12.20% 1,024 -6.06% 1回
合計 39,706 39,628 -0.20% -79

振り返りと考察

3月3週の検証:調整局面における「鮮度」と「底堅さ」の相関

3月3週ピックアップ銘柄の合計騰落率は0.20%とほぼトントンでの着地となりました。日経平均が週初から年初来安値を割り込み、26週線を一度も回復できないまま高値・安値ともに切り下げていくという厳しい地合いの中で、この結果は「善戦した」と評価してよいでしょう。ただしプラスとマイナスが5対5に割れた内訳を丁寧に見ていくと、単純な相場の強弱だけでは説明しきれない、銘柄固有の需給構造の差が浮かび上がってきます。

上場来高値更新回数(鮮度)と下値の堅牢性

今回の検証で最も興味深いのは、紹介日時点での上場来高値更新回数(銘柄の”鮮度”)と期間最安値の騰落率の相関です。初回更新銘柄(1回)である山王・川崎汽船・サムコ・アシードHDの期間最安値騰落率はそれぞれ-15.46%・-11.92%・-12.22%・-6.06%と、下落時の振れ幅が非常に大きくなっています。「初めて高値を更新した銘柄」は真空地帯に突入していることが多く、売りが入ると支えが薄い分だけ一気に崩れやすい構造を持っています。一方、連続更新銘柄であるベルテクスコーポレーション(30回)・太平電業(28回)・三井物産(20回)はいずれも期間最安値の騰落率が-10%以内に収まっており、需給の層の厚さが悪地合いでも下値を支えた格好です。ただし3月2週の検証ではセレンディップ(36回)・良品計画(43回)といった高回数銘柄が大幅調整を強いられた事例もあり、「回数が多い=安全」という単純な図式が成り立たない局面もあります。今後もサンプルを積み重ねながら、回数と堅牢性の関係を引き続き検証していきます。

投機的資金とモメンタムの二面性

初回更新銘柄の中でもサムコ(1回)は期間最安値-12.22%という大きなドローダウンを経験しながらも、最終的には+5.99%のプラスで着地しました。2023年時の上場来高値である7,000円が強力なサポートとして機能し、そこから切り返したことが奏功した形です。一方、同じ初回更新銘柄の山王(-15.46%)やアシードHD(-6.06%)は現時点でも軟調な水準に留まっており、「初回更新後の値動きはその銘柄固有のファンダメンタルズと需給の質によって大きく分かれる」ことが改めて示されました。急騰後に明確なサポートラインが存在するかどうかが、初回更新銘柄を扱う上での重要な判断基準になりそうです。

まとめ

3月3週の検証を通じて、上場来高値更新の「回数」が調整局面における下値の堅牢性と一定の相関を持つ可能性が示唆されました。ただしそれが絶対的な法則ではなく、個別銘柄のファンダメンタルズや直近の需給状況、サポートラインの有無といった複合的な要因が絡み合っていることも確認できました。今週のMVPはギフトホールディングス(期間最安値-2.51%・最終騰落率+4.90%)で、好決算という裏付けのある銘柄の底堅さを象徴する結果となりました。引き続き予断を持たずにサンプルを積み重ね、上場来高値投資に資するデータと視点を探っていきます。

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