【ピックアップ銘柄検証】上場来高値を更新した銘柄のその後は?3月第5週(4月第1週)の注目株「その後の明暗」

ピックアップ銘柄

今週の相場概況と振り返り

今週の東京市場を一言で表すなら、「ドラマチックな週間反転」でした。
週前半は米国とイランによる土壇場の停戦合意というニュースが火曜日朝に飛び込み、前週まで市場を覆っていた極度のリスクオフ・悲観ムードを吹き飛ばしました。8日(火)は前日比約3,000円高という大幅な急騰で幕を開け、2週間の停戦合意を受けてホルムズ海峡封鎖リスクが後退し、エネルギー・物流市場への不安定化懸念が大きく和らいだことが市場のセンチメントを一変させました。先週までの急落が週足チャート上で絶好の押し目として機能した格好です。

しかし週後半に目を向けると、金曜日は全体の66%が値下がりするという上げているのは指数だけという状況が出現。SQ算出に絡む需給要因と半導体関連大型株への資金偏重が、TOPIXを前日比ほぼ横ばいに押し込んだ一日でした。SQについては4月限の日経平均SQが56,572円と算出され、週末の指数は終値ベースでSQ値を上回る水準を維持。テクニカル的には「幻のSQ」とならなかった点が、相場の底堅さを示すシグナルとなっています。

中東情勢は一旦の沈静化を見せたものの、火種が完全に消えたわけではありません。反発が急ピッチだった分、再び悪材料が出れば梯子を外されるリスクも否定できないでしょう。相場が真の落ち着きを取り戻すまでは、慎重なポジション管理が求められる局面が続きそうです。

出光興産(5019)

3/30に取り上げた銘柄です(下記のチャートの白い矢印が取り上げた日です)。
WTI原油100ドル突破という悲観の極みの中で上場来高値を更新しましたが、停戦合意とともに材料出尽くしの売りが先行。ボリンジャーバンド+2σに沿ったバンドウォークが途切れ、利益確定売りに押される形となりました。
WTI原油100ドル突破という有事の極みの中で上場来高値を更新した本銘柄でしたが、停戦合意とともに市場環境が一変。紹介翌日始値1,566円から4月10日終値1,544円と、騰落率-1.37%とかろうじてほぼ横ばいに見えますが、その行程は波乱含みで、期間中の最安値1,522円(-2.78%)まで売られる場面もありました。ボリンジャーバンド+2σに沿ったバンドウォークが途切れ、エネルギー系のセクターローテーションにさらされた格好です。

今後の視点:現在は25日移動平均線がサポートとして機能するかが最大の焦点です。ここを明確に割り込むと、2月のもみ合い水準である1,400円前後(上記チャートの水平のオレンジの線)までの調整が現実味を帯びます。投機資金の流出スピードには注意が必要ですが、25日線上での踏みとどまりを確認できれば、再びエネルギー安定供給というテーマで買い直される可能性も残っています。

中央倉庫(9319)

3/31に取り上げた銘柄です(下記のチャートの白い矢印が取り上げた日です)。
紹介翌日始値1,962円から4月10日終値2,157円と、+9.94%という堂々たる上昇を見せています。特段の好材料はなかったものの、割安なバリュエーションとディフェンシブな性格が、3月の地合い悪化局面で逃避資金の受け皿となりました。期間最高値は2,235円(+13.91%)にも達しています。

今後の視点 しかし直近では、リスクオンへの転換でハイテク株等に資金がシフトしたためか、出来高の細りが目立ってきています。空売り残の清算が進んだことで需給の軽さも失われつつあり、今後の動きはより正直に地力を問われる局面です。調整が入る場合は、2月の出来高帯である1,700円前後(上記チャートの水平の青い線)がサポートとして意識されそうです。

日機装(6376)

4/1に取り上げた銘柄です(下記のチャートの白い矢印が取り上げた日です)。
紹介翌日始値2,692円から4月10日終値2,820円と、+4.75%の堅調な推移です。期間最高値は2,840円(+5.50%)まで伸ばしており、レンジ上放れ後の窓埋めを拒否する力強いバンドウォークを継続。5日・25日・75日・200日線すべてが上向きのパーフェクトオーダーを形成しており、トレンドの強固さは際立っています。

今後の視点4/10に開けた小さな窓が一つの焦点で、出来高の少なさゆえの「浮き」とも取れます。この窓埋めラインである2,500円前後(上記チャートの水平のオレンジの線)まで押してくる場面があれば、絶好の押し目買い候補として再注目したいところ。移動平均線の傾きが力強く、急落リスクは現時点では限定的と判断しています。

日本ハム(2282)

4/2に取り上げた銘柄です(下記のチャートの白い矢印が取り上げた日です)。
紹介翌日始値7,308円から4月10日終値7,043円と、-3.63%と苦戦しています。9年ぶりの上場来高値更新という大仕事を終えた後、市場の関心がリスクオン・グロース株へ移ったことで、ディフェンシブ食品株の相対的な魅力が低下。期間最安値も7,042円(-3.64%)と終値とほぼ同水準で、下値模索が続いています。

今後の視点25日線と75日線がスクイーズしており、株価を両線に引き寄せる力が強く働いています。最悪のケースでも長期レンジ下限の6,500円前後(上記チャートの水平の青い線)は硬いとみていますが、当面はエネルギー不足によるもみ合いが続きそうです。まずは25日線での下げ止まり確認が第一の焦点です

ワシントンホテル(4691)

4/3に取り上げた銘柄です(下記のチャートの白い矢印が取り上げた日です)。
紹介翌日始値1,592円から4月10日終値1,897円と、+19.16%という本週最大の上昇率を記録。期間最高値1,931円(+21.29%)まで駆け上がり、インバウンド期待の再燃という強力なテーマを背負った形での爆発力を見せました。4月3日の取り上げ時の乱高下を耐え抜き、その後は一気に値を飛ばしています。

今後の視点25日線乖離率50%近辺・ボリンジャーバンド+3σ付近という数字は、明らかにスピード違反の領域です。75日線が200日線を抜くゴールデンクロスが間近に迫り、テクニカルの期待感は高いものの、急ブレーキのリスクと常に隣り合わせです。調整時には昨年8月高値の1,700円付近(上記チャートの水平のオレンジの線)でのレジサポ転換を確認したいところ。出来高が少ない銘柄だけに、逃げ足の速さが求められる局面です。

【上場来高値ウォッチ】週次パフォーマンス

先週上場来高値を更新した銘柄が、その後どのような軌跡を辿ったのかを数値化して振り返ります。
※同一銘柄を複数回取り上げた場合は、最初の紹介日を基準としています。
※上場来高値を更新した銘柄のパフォーマンスを事後検証するものであり、売買を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。

週次パフォーマンス表(3/30〜4/3 紹介分)

銘柄コード 銘柄名 紹介日 紹介翌日始値 4/10終値 騰落率 損益額 4/10までの
最高値
騰落率 4/10までの
最安値
騰落率 紹介日
52週ATH回数
1605.T INPEX 3/30 4,930 4,147 -15.88% -783 4,932 +0.04% 4,055 -17.75% 15回
1663.T K&Oエナジーグループ 3/30 5,560 4,975 -10.52% -585 5,630 +1.26% 4,845 -12.86% 13回
1776.T 三井住建道路 3/30 1,997 1,998 +0.05% 1 1,999 +0.10% 1,996 -0.05% 22回
2384.T SBSホールディングス 3/30 4,390 4,255 -3.08% -135 4,445 +1.25% 4,225 -3.76% 1回
2689.T オルバヘルスケアホールディングス 3/30 2,070 2,110 +1.93% 40 2,132 +3.00% 2,060 -0.48% 2回
2702.T 日本マクドナルドホールディングス 3/30 8,430 8,240 -2.25% -190 8,760 +3.91% 8,170 -3.08% 15回
3355.T クリヤマホールディングス 3/30 1,879 1,928 +2.61% 49 1,975 +5.11% 1,806 -3.89% 22回
5019.T 出光興産 3/30 1,566 1,544 -1.37% -22 1,671 +6.74% 1,522 -2.78% 12回
6870.T 日本フェンオール 3/30 2,040 1,990 -2.45% -50 2,060 +0.98% 1,990 -2.45% 12回
7678.T あさくま 3/30 5,580 5,490 -1.61% -90 5,760 +3.23% 5,080 -8.96% 13回
9319.T 中央倉庫 3/30 1,962 2,157 +9.94% 195 2,235 +13.91% 1,951 -0.56% 10回
2207.T meito 3/31 2,994 3,070 +2.54% 76 3,220 +7.55% 2,984 -0.33% 15回
2702.T 日本マクドナルドホールディングス 3/31 8,280 8,240 -0.48% -40 8,760 +5.80% 8,170 -1.33% 16回
3355.T クリヤマホールディングス 3/31 1,888 1,928 +2.12% 40 1,975 +4.61% 1,806 -4.34% 23回
3480.T ジェイ・エス・ビー 3/31 5,050 5,260 +4.16% 210 5,410 +7.13% 4,785 -5.25% 20回
5019.T 出光興産 3/31 1,551 1,544 -0.45% -7 1,671 +7.74% 1,522 -1.87% 13回
7678.T あさくま 3/31 5,340 5,490 +2.81% 150 5,760 +7.87% 5,340 +0.00% 14回
8715.T アニコム ホールディングス 3/31 1,406 1,531 +8.89% 125 1,640 +16.64% 1,388 -1.28% 7回
9319.T 中央倉庫 3/31 2,066 2,157 +4.40% 91 2,235 +8.18% 2,057 -0.44% 11回
2207.T meito 4/1 3,075 3,070 -0.16% -5 3,220 +4.72% 3,030 -1.46% 16回
2344.T 平安レイサービス 4/1 1,491 1,488 -0.20% -3 1,491 +0.00% 1,484 -0.47% 6回
296A.T 令和アカウンティング・ホールディングス 4/1 842 812 -3.56% -30 889 +5.58% 797 -5.34% 6回
3294.T イーグランド 4/1 2,816 4,845 +72.05% 2,029 4,845 +72.05% 2,816 +0.00% 14回
3355.T クリヤマホールディングス 4/1 1,856 1,928 +3.88% 72 1,975 +6.41% 1,806 -2.69% 24回
3480.T ジェイ・エス・ビー 4/1 5,170 5,260 +1.74% 90 5,410 +4.64% 4,785 -7.45% 20回
4503.T アステラス製薬 4/1 2,699 2,607 -3.41% -92 2,717 +0.67% 2,574 -4.63% 5回
4578.T 大塚ホールディングス 4/1 11,535 10,650 -7.67% -885 11,610 +0.65% 10,500 -8.97% 9回
4659.T エイジス 4/1 4,445 4,415 -0.67% -30 4,450 +0.11% 4,405 -0.90% 3回
5019.T 出光興産 4/1 1,588 1,544 -2.80% -44 1,671 +5.19% 1,522 -4.19% 14回
6376.T 日機装 4/1 2,692 2,820 +4.75% 128 2,840 +5.50% 2,541 -5.61% 18回
6459.T 大和冷機工業 4/1 2,018 1,944 -3.67% -74 2,086 +3.37% 1,943 -3.72% 4回
7384.T プロクレアホールディングス 4/1 3,300 3,250 -1.52% -50 3,335 +1.06% 3,105 -5.91% 16回
8132.T シナネンホールディングス 4/1 8,210 7,400 -9.87% -810 8,270 +0.73% 7,310 -10.96% 11回
8381.T 山陰合同銀行 4/1 1,918 1,985 +3.49% 67 1,989 +3.70% 1,846 -3.75% 17回
8388.T 阿波銀行 4/1 6,020 6,510 +8.14% 490 6,700 +11.30% 5,990 -0.50% 18回
8715.T アニコム ホールディングス 4/1 1,425 1,531 +7.44% 106 1,640 +15.09% 1,397 -1.96% 8回
9319.T 中央倉庫 4/1 2,153 2,157 +0.19% 4 2,235 +3.81% 2,064 -4.13% 12回
9651.T 日本プロセス 4/1 1,875 1,860 -0.80% -15 1,877 +0.11% 1,835 -2.13% 14回
1899.T 福田組 4/2 8,550 8,580 +0.35% 30 8,860 +3.63% 8,520 -0.35% 8回
2207.T meito 4/2 3,075 3,070 -0.16% -5 3,220 +4.72% 3,030 -1.46% 17回
2282.T 日本ハム 4/2 7,308 7,043 -3.63% -265 7,420 +1.53% 7,042 -3.64% 1回
2344.T 平安レイサービス 4/2 1,489 1,488 -0.07% -1 1,491 +0.13% 1,484 -0.34% 7回
2573.T 北海道コカ・コーラボトリング 4/2 4,260 4,345 +2.00% 85 4,425 +3.87% 4,260 +0.00% 39回
296A.T 令和アカウンティング・ホールディングス 4/2 820 812 -0.98% -8 889 +8.41% 797 -2.80% 7回
3294.T イーグランド 4/2 4,820 4,845 +0.52% 25 4,845 +0.52% 4,820 +0.00% 15回
3475.T グッドコムアセット 4/2 1,720 1,681 -2.27% -39 1,848 +7.44% 1,678 -2.44% 22回
3480.T ジェイ・エス・ビー 4/2 5,170 5,260 +1.74% 90 5,410 +4.64% 4,785 -7.45% 21回
4119.T 日本ピグメントホールディングス 4/2 5,710 5,250 -8.06% -460 5,710 +0.00% 5,180 -9.28% 2回
4503.T アステラス製薬 4/2 2,600 2,607 +0.27% 7 2,717 +4.50% 2,574 -1.00% 6回
4578.T 大塚ホールディングス 4/2 11,305 10,650 -5.79% -655 11,410 +0.93% 10,500 -7.12% 10回
5019.T 出光興産 4/2 1,568 1,544 -1.50% -24 1,671 +6.60% 1,522 -2.90% 15回
6376.T 日機装 4/2 2,610 2,820 +8.05% 210 2,840 +8.81% 2,610 +0.00% 19回
6459.T 大和冷機工業 4/2 1,984 1,944 -2.02% -40 2,086 +5.14% 1,943 -2.07% 5回
6890.T フェローテック 4/2 6,420 6,980 +8.72% 560 7,170 +11.68% 6,420 +0.00% 13回
7317.T 松屋アールアンドディ 4/2 1,099 1,097 -0.18% -2 1,100 +0.09% 1,096 -0.27% 3回
7384.T プロクレアホールディングス 4/2 3,190 3,250 +1.88% 60 3,290 +3.13% 3,105 -2.66% 17回
8018.T 三共生興 4/2 912 923 +1.21% 11 959 +5.15% 912 +0.00% 4回
8037.T カメイ 4/2 3,435 3,425 -0.29% -10 3,565 +3.78% 3,405 -0.87% 36回
8132.T シナネンホールディングス 4/2 8,180 7,400 -9.54% -780 8,260 +0.98% 7,310 -10.64% 12回
8282.T ケーズホールディングス 4/2 1,722 1,816 +5.40% 93 1,890 +9.75% 1,722 +0.00% 10回
8377.T ほくほくフィナンシャルグループ 4/2 6,378 6,271 -1.68% -107 6,643 +4.15% 6,174 -3.20% 4回
8381.T 山陰合同銀行 4/2 1,879 1,985 +5.64% 106 1,989 +5.85% 1,855 -1.28% 18回
8388.T 阿波銀行 4/2 6,170 6,510 +5.51% 340 6,700 +8.59% 6,050 -1.94% 19回
8715.T アニコム ホールディングス 4/2 1,404 1,531 +9.05% 127 1,640 +16.81% 1,404 +0.00% 9回
9319.T 中央倉庫 4/2 2,117 2,157 +1.89% 40 2,235 +5.57% 2,064 -2.50% 13回
9347.T 日本管財ホールディングス 4/2 2,990 3,020 +1.00% 30 3,095 +3.51% 2,979 -0.37% 2回
9765.T オオバ 4/2 1,230 1,297 +5.45% 67 1,322 +7.48% 1,230 +0.00% 5回
2282.T 日本ハム 4/3 7,410 7,043 -4.95% -367 7,411 +0.01% 7,042 -4.97% 2回
2805.T ヱスビー食品 4/3 5,010 5,080 +1.40% 70 5,150 +2.79% 4,940 -1.40% 28回
3294.T イーグランド 4/3 4,845 4,845 +0.00% 0 4,845 +0.00% 4,840 -0.10% 16回
3475.T グッドコムアセット 4/3 1,724 1,681 -2.49% -43 1,848 +7.19% 1,678 -2.67% 23回
4119.T 日本ピグメントホールディングス 4/3 5,600 5,250 -6.25% -350 5,630 +0.54% 5,180 -7.50% 3回
4691.T ワシントンホテル 4/3 1,592 1,897 +19.16% 305 1,931 +21.29% 1,552 -2.51% 2回
500A.T TOブックス 4/3 3,700 3,630 -1.89% -70 3,760 +1.62% 3,565 -3.65% 3回
8282.T ケーズホールディングス 4/3 1,770 1,816 +2.57% 46 1,890 +6.81% 1,767 -0.17% 11回
8715.T アニコム ホールディングス 4/3 1,452 1,531 +5.44% 79 1,640 +12.95% 1,451 -0.07% 10回
9347.T 日本管財ホールディングス 4/3 3,000 3,020 +0.67% 20 3,095 +3.17% 3,000 +0.00% 3回
合計 280,325 279,523 -0.29% -802

振り返りと考察

セクターローテーションの直撃と資源株の急落

今週のパフォーマンス表が示す最も顕著な構図は、停戦合意を境にした劇的なセクターごとの明暗です。INPEX(-15.88%)、K&Oエナジーグループ(-10.52%)、シナネンHD(-9.87%)といった資源・エネルギー関連銘柄は、「有事の買い」が「材料出尽くしの売り」へと一転し、奈落へ突き落とされる形になりました。上場来高値更新という形でのエントリーでも、外部環境の急変によってトレンドが数日で崩壊するリスクを、これらの数字が如実に物語っています。

個別材料・内需の爆発力

資源株が沈む一方で、地合いの好転を燃料に個別の材料や需給が弾けた銘柄は、凄まじい伸びを見せました。ワシントンホテル(+19.16%)はインバウンド期待の再燃というテーマが停戦合意による楽観ムードと共鳴し、出来高の薄さも相まって一気に駆け上がりました。アニコムHD(+9.05%)や中央倉庫(+9.94%)など、内需・ディフェンシブ・バリュー系の一部も資源株のマイナスを補って余りある利益を叩き出しており、「どのセクターに乗るか」という銘柄選定の成否が、今週ほど投資パフォーマンスの明暗を分けた週はなかったと言えるでしょう。
※イーグランドは3月31日に西武不動産によるTOBが発表されており、+72.05%という数字はTOB価格への収れんという特殊要因によるものです。今回の検証対象としては参考値にとどめ、実質的な上昇相場の恩恵銘柄としてカウントすることは適切でないと判断しています。

指数の大幅高とパフォーマンス表のギャップ

今週、日経平均は歴史的な急騰を記録しましたが、本パフォーマンス表の合計騰落率は-0.29%とわずかにマイナス圏に留まりました。TOBの特殊要因であるイーグランドを除外すれば、さらに厳しい実態が浮かび上がります。「日経平均が大幅高=保有株も上昇」とはならない現実を、数字が冷徹に示しています。

上場来高値更新銘柄の見極め

今週の検証データが改めて示したのは、「上場来高値を更新した銘柄に飛び乗れば儲かる」という単純な図式の危うさです。INPEXは-15.88%、K&Oエナジーは-10.52%、シナネンHDは-9.87%——いずれも上場来高値を更新した直後に外部環境の急変でトレンドが崩壊し、飛び乗った投資家はわずか数日で二桁の損失を被る結果となりました。上場来高値更新という事実はあくまで「強さの証明」であり、「上昇の保証」ではありません。重要なのは更新の”質”——すなわち、その銘柄固有のセクターテーマが生きているか、出来高を伴った本物の需要があるか、そして移動平均線やボリンジャーバンドが示すトレンドの型が崩れていないか——を冷静に見極めることです。日機装やフェローテック、アニコムHDのように、激しい相場の荒波の中でも「型を崩さなかった銘柄」こそが、本物の上昇トレンドにある銘柄の姿と言えるでしょう。上場来高値更新はスタートラインの確認に過ぎず、その先の精査こそが投資の勝敗を分けます。

まとめ

今週のパフォーマンス表を総括すれば、合計騰落率-0.29%という数字がすべてを語っています。日経平均が歴史的な急騰を演じた週に、先週上場来高値を更新していた銘柄群の平均リターンがわずかにマイナスという現実は、指数の動きと個別銘柄の体感温度の乖離を鮮明に映し出しています。停戦合意という「外部からの強制的なルール変更」によってセクターの優劣が一夜にして逆転し、エネルギー株の急落が内需・サービス株の上昇を打ち消した結果です。市場は常に次の材料を先取りして動きます。来週は米イラン恒久和平交渉の行方と、本格化し始める決算シーズンという二つの軸が相場を動かしていくことになるでしょう。「潮目の変化に耐えた銘柄」と「決算で浮上してくる銘柄」の両軸でウォッチリストを磨きながら、引き続き上場来高値ウォッチを続けていきます。

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