本日の相場概況
本日の上場来高値更新銘柄数は56銘柄でした。
東京市場は指数の見た目以上に中身の強さが際立つ一日となりました。日経平均は60,550円と前日比265円安、-0.44%で続落したものの、TOPIXは+0.63%、グロース250は+3.11%と大きく上昇しています。東証プライムの値上がり銘柄数は1,116に対し、値下がりは430にとどまり、全体の約7割が上昇しました。指数と個別銘柄の体感がここまで乖離するのは直近では珍しく、日経平均だけを見ると弱い一日ですが、実際には幅広い銘柄に買いが広がった個別株優勢ともいえる地合いでした。
指数の乖離の構図は明快です。日経平均を押し下げたのは、ここ数週間にわたって相場を牽引してきた値嵩の大型半導体・ハイテク株への利益確定売りです。前日の米国市場はNYダウが+0.32%と小幅高だった一方、S&P500は-0.07%、NASDAQ100は-0.45%とハイテク株が弱含んでおり、この流れが日本の値嵩ハイテクにそのまま波及した形です。一方で、TOPIXが堅調だったことは、バリュー株・内需株・金融株が下支えとして機能したことを示しています。特に注目されるのが銀行セクターへの資金流入です。メガバンクをはじめとした大手銀行株が上昇し、TOPIXの下支え役を担いました。長期金利の動向への意識や、これまで好決算を発表してきた銀行セクターへの継続的な評価がその背景にあるとみられます。グロース250の前日比+3.11%という大きな反発も印象的です。先週まで大型株主導の上昇から置き去りにされていた中小型グロース株への、出遅れ修正の動きが本日一気に顕在化した形といえます。決算シーズンが終盤に差し掛かり、一定の安心感が出たことで、過度に売り込まれていた小型株への買い戻しが入りやすいタイミングでもありました。
売買代金は東証プライムで約10兆3,864億円と、前日の約8兆1,166億円から大きく回復しています。前日はキオクシアのストップ高張り付きにより代金が押し下げられた面が大きかったと考えられ、本日の回復はむしろ市場参加者の積極性の戻りを示すものです。資金の流れという観点では、大型ハイテクから資金が引いた一方で、バリュー株・防災・医薬品卸・金融といったバラエティ豊かな業種に資金が分散する、典型的な循環物色の様相を呈しています。指数全体としては中立からやや強含みという状況で、「大型ハイテク一極集中から多セクターへの分散」という変化点が本日だけの一過性のものなのか明日以降も続くのかは要注目です。
気になる上場来高値更新銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
QDレーザ(6613)
値幅制限いっぱいまで買われるストップ高となり、一気に上場来高値を更新しました。5月14日大引け後に発表された本決算では、赤字幅の縮小と翌期の黒字化見通しが示されました。富士通研究所発のスピンオフベンチャーで、量子ドットレーザーをコア技術に光通信・シリコンフォトニクス用光源から視覚情報デバイスまでを手がける同社は、AI・データセンター投資の拡大を背景にした光通信インフラへの期待という強力なテーマ性を纏っています。昨日には前日比+23%超の急騰を演じており、その勢いは衰えるどころかむしろより大きく増しており、二日連続の大幅高となりました。もはや足元ではテーマ性と需給主導の値動きに移行しています。出来高も3,000万株を超え、短期資金の回転売買が活発です。
ココに注目!:移動平均線の並びはパーフェクトオーダーで、一目均衡表も三役好転が成立しており、構造的には申し分のない強気局面です。しかしボリンジャーバンドは+3σを大幅に上回る極度過熱圏にあり、25日線乖離率も+69%超という際立った過熱感を示しています。平均値幅率も9%を超えており、一日の値動きが9%を超えることが珍しくないこのような状態は、大きな日々の振れ幅を前提に臨む必要があります。現状は典型的な「短期過熱・調整待ち」の局面であり、ボリンジャーバンドの+2σ付近まで乖離が縮小した場面での戻りがしっかりとしていれば押し目として期待できそうです。3月の高値を終値で明確に割り込んできた場合は短期上昇シナリオが否定されたと意識される可能性が高いため注意が必要です。
バイタルケーエスケー・ホールディングス(3151)
医薬品卸売を主力とする同社は、5月14日後場に本決算と同時に重要な資本政策を発表しました。前期の増配に加え、今期も配当を継続する方針が示されたほか、取得総額40億円・200万株を上限とする自己株式取得の実施も同時に開示されました。窓を開ける始値1,497円から上値を伸ばし、上場来高値更新となる1,552円まで上昇して高値引けに近い1,546円で引けました。上場来高値の更新は直近1年間で12回目と、着実な水準切り上げが続いています。出来高25日平均比1.67倍と、特別大商いとは言えないなかでの上場来高値更新です。
ココに注目!:直近の上昇でボリンジャーバンド+2σ付近まで達しましたが、RSIはまだ70手前で極端な過熱には至っていません。さらに注目したいのは貸借倍率0.63倍という売り残優勢の需給で、上昇に伴って売り方の買い戻しが株価を押し上げている可能性があります。本日に開けた小さな上昇窓が短期の支持帯として機能するなら、押し目形成を経てさらに上値を試す展開も考えられます。まずは現在の価格帯を維持しながら25日線などが追い付いてくれば更なる一段高も期待できそうです。ただし、1月の高値水準を割り終値ベースで再び雲の中に入り込んでしまう場合はトレンドが継続されるか慎重に見極める必要が出てきます。
ホーチキ(6745)
静かながら力強い連騰が続いています。前場の早い段階で上場来高値を更新し、その後はやや利確売りに押されながらも高値圏を維持しました。5月上旬の決算をきっかけに株価水準が一段切り上がっており、防災関連という安定した事業特性もあって中長期資金の買いが続いている印象です。出来高25日平均比は2倍と商いを伴っており、中長期資金の流入も窺えます。防災関連というディフェンシブなセクター性と、業績の着実な伸びが市場に再評価されている局面です。貸借倍率は1.15倍と売残・買残がほぼ拮抗した水準で、踏み上げというよりは実需買いが中心と思われます。
ココに注目!:移動平均線はパーフェクトオーダーを形成しており、一目均衡表も三役好転が成立するなど、中長期トレンドの強固さが際立っています。ボリンジャーバンドは+3σに近く、5日前との比較でバンド幅が1.3倍に拡張中である点は短期的な過熱感の高まりを示しています。RSIは71付近と過熱圏入りの目安である70を超えたばかりです。現在地は上昇トレンドの継続局面ながら短期過熱感も高い状態で、押し目形成後の継続判断という段階に差し掛かっています。25日移動平均線付近まで調整した場面が押し目として機能するかを確認したうえでのエントリーが合理的です。5月14日の窓の下限を終値で下抜けた場合は、上昇のトレンドラインが崩れるシグナルとして捉える必要があります。
気になる上場来高値間近銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
ダスキン(4665)
昨年11月から12月の急騰後に高値圏でもみ合っていたものの、このところ株価は下落傾向でしたが、5月15日の本決算発表でその雰囲気は一転しました。増収増益の好業績が評価されたことで、昨日は大きく窓を開けて上昇しました。本日もその勢いを引き継ぐ展開となっており、上場来高値4,428円を捉える位置に返り咲いています。出来高25日平均比は2.1倍と、地味なサービス業銘柄とは思えない活況を呈しています。ミスタードーナツを展開するフードグループの利益が大きく伸長したことが評価された好決算で、翌期もほぼ横ばいの経常利益見通しと発表されましたが、安定した収益基盤が確認されたことで市場は好意的に受け取っています。
ココに注目!:ボリンジャーバンド+2σ〜+3σの過熱圏に位置しており、RSIは69付近と過熱圏手前です。信用残は売残が買残を上回る状態(貸借倍率0.42倍)で、踏み上げを後押しする需給の軽さがあります。一目均衡表の三役好転が未成立である点は強さの制約材料ですが、このまま直近の窓を埋めることなく25日線が追い付いてくれば更なる上昇が期待できそうです。このままの勢いで上場来高値を更新する場合は、25日線が200日線も下回っている状況なども考えると達成感から押し下げられる可能性を意識する必要があります。窓の下限水準を終値で割り込んだ場合は、短期的な上昇シナリオは検討しなおすべきでしょう。
三井住友フィナンシャルグループ(8316)
大型銀行株にも再び資金が戻ってきました。前日比+3.66%の5,942円と大商いで上昇し、2月に記録した上場来高値6,284円まで約340円と再び接近してきました。上場来高値との距離も約5%以内であり、まさに上場来高値更新間近という状況です。日本の長期金利が高止まりを続けるなかで、銀行の利ざやへの恩恵期待が継続していることが背景にあります。本日はギャップアップとなる寄りつきから日中高値をつけ、後場はやや落ち着いた動きとなっています。信用買残は1,464万株超と多い水準ですが、出来高水準と比較すれば極端な重荷とはいえません。
ココに注目!:パーフェクトオーダーの移動平均線配列と一目均衡表の三役好転成立は、長期トレンドの力強さを裏付けています。ボリンジャーバンドは+2σを超えていますが、RSI63は過熱感のない水準で、上昇余地が残されている点は評価できます。時価総額が22兆円を超える大型株であるため、値幅よりも方向感を重視すべき銘柄です。このまま素直に5日線と+2σの間でバンドウォークが続くようであれば上場来高値更新も遠くないでしょう。多少の押し下げがある場合でも+1σの水準であれば押し目として狙えるかと思いますが、25日線や雲の上限まで迫る場合は一旦横横の動きとなる可能性もありうるので注意が必要です。


