本日の相場概況
本日の上場来高値更新銘柄数は25銘柄でした。
先週金曜、昨日と2営業日連続で史上最高値更新した日経平均ですが、本日いったん足を止めました。前日比200円安の66,734円と3営業日ぶりに反落しています。終値だけを見れば小幅な調整に映りますが、ザラ場では下げ幅が一時1,400円近くに達し、安値では65,551円まで沈む場面がありました。連続で最高値を更新した直後とあって利益確定売りが出やすかったところに、米国とイランの戦闘終結に向けた協議が停滞しているとの見方が重なり、寄り付きから幅広い銘柄に売りが先行しています。ホルムズ海峡の開放には時間がかかり原油高の長期化が意識されたことで、機械・自動車・商社といった景気敏感株の下げが目立ちました。
昨夜の米国市場はNYダウが+0.09%、S&P500が+0.26%、NASDAQ100が+0.60%と主要3指数が小幅高で終えており、それ自体は重荷になる流れではありません。本日の上値の重さは外部要因というより、原油高と中東協議の停滞という日本市場側の事情を映したものと整理できます。
ただ、引けにかけて様相は変わりました。後場は底堅さを意識した海外投機筋とみられる先物買いが入り、下げ幅を急速に縮めています。米国でAI開発のアンソロピックが上場を申請したと伝わるなどAI関連への投資意欲は根強く、国内の長期金利低下も追い風となって、アドバンテストや東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、ソニーグループといったAI・半導体や値嵩株の一角が切り返しました。
もっとも、中身は依然として二極化したままです。TOPIXは-0.42%の3,924.24と続落し、東証プライムの値下がり銘柄数は1,091と全体の約7割に達しました。指数の小幅安と幅広い下げという実態は大きく食い違い、資金はAI・半導体の主力と、百貨店などの内需株に絞られています。売買代金は約12.5兆円と前日の11.9兆円からむしろ増えており、参加者が様子見に転じたのではなく、限られた対象へ資金を寄せながら回転させている状態がうかがえます。
象徴的なのが新興・中小型株の弱さです。グロース250は-1.52%の771.72と続落し、前日に1カ月ぶり安値へ沈んだ流れが止まりません。なかでも目立つのが宇宙関連株で、昨日今日と軒並み売られています。背景には、関連株物色のきっかけとなってきた米スペースXの上場が6月12日に迫り、国内でも一部証券会社経由でIPOに応募できるようになったことから、その資金を捻出するための換金売りが膨らんでいる可能性が考えられます。AI・半導体の大型株に物色が集中する裏で、アストロスケールやQPSホールディングス、ispaceなどが大幅安となり、前日にはアストロスケールが16%超下落する場面もありました。
物色の偏りは、中小型のバリュー株にも及んでいます。東証スタンダード市場指数は足元で水準を切り下げ、6月1日には1,632.79と、3月末につけた安値1,600.37(終値ベース)に再接近しています。大型のAI・半導体へ資金が吸い寄せられる構図のなかで、グロース・宇宙関連だけでなくスタンダード市場の中小型株まで売りが波及している点は、地合いの裾野の脆さを示しています。総じて本日は、原油高を口実とした幅広い利益確定と、テーマ・主力への一段の資金集中が交錯した、選別色の濃い一日でした。
気になる上場来高値更新銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
堺化学工業(4078)
5月29日の本欄で上場来高値突破が目前と記したこの銘柄は、その後わずか2営業日で景色を一変させました。当時4,940円だった株価は、昨日に値幅制限いっぱいのストップ高まで買われたあと、本日は6,580円まで上値を伸ばし、2007年につけた上場来高値を下方へ置き去りにしています。AIデータセンター向けの積層セラミックコンデンサ材料、チタン酸バリウムの主力という立ち位置から、本日も村田製作所など関連株への物色が続くなかで資金を集めました。新興・中小型株が広く売られた地合いにあって、テーマの中心としての強さが際立っています。もっとも本日は寄り付き後に6,580円まで買われたあと5,990円まで急落する場面もあり、終値は6,380円と上下に大きく振れる荒い値動きでした。高値圏で利益確定と新規買いが激しく交錯し始めた兆しと見ておくべきです。
ココに注目!:チャートの過熱はもはや常識的な範囲を超えています。ボリンジャーバンドは+3σを大きく上回り、帯域も急拡張中で、25日線乖離率は+60%超もの開きに達しました。RSI14も83前後と買われ過ぎの極みです。平均値幅率は5%超に膨らんでおり、板の薄い時間帯には日々の振れがさらに荒くなりやすい点は強く意識しておきたいところです。3営業日連続で窓を開けて駆け上がっているため、上値には戻り売りのほとんどない真空地帯が広がる一方、下げに転じた際の支えも乏しいのが実情です。現実的に検討しうる浅い押し目は、本日空けた窓の下限にあたる5,640円や、ボリンジャーバンド+2σの通る5,380円前後でしょう。25日線(約3,940円)や75日線(約3,780円)は現値から40%近く下に位置しており、そこまで下げる場合は押し目というより上昇トレンドそのものの調整入りを意味します。まずは本日の窓下限5,640円を終値で割り込むかどうかが、短期の勢いが途切れたと判断する目安になります。
ジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)
寄り付きからギャップアップで7,000円台に乗せ、前場のうちに7,070円まで買われて上場来高値を更新した同社ですが、その後は伸び悩み、終値は6,861円と高値から200円あまり水準を切り下げて引けました。鉛蓄電池からリチウムイオン電池まで手掛ける電池大手で、データセンター向け非常用電源や電動化の流れを追い風に、年初から4月にかけて上値を切り上げたのち高値圏でのレンジ相場が続いています。本日も上場来高値こそ更新しましたが、高値7,070円から押し戻されたことが示すように、節目の7,000円前後が当面の上値の壁として意識されつつあります。本日は特段の新規材料は見当たらず、節目意識による短期的な売買が値動きの主役だったとみられます。下ヒゲの長い陰線となり、いったんの達成感もうかがえる一日でした。
ここに注目!: 過熱感という点では、本日取り上げる他の銘柄に比べて落ち着いているのが特徴です。25日線乖離率は+7%台、RSI14も63前後と、買われ過ぎゾーンには距離があります。ボリンジャーバンドの帯域は横ばいで、現値は+2σと+3σの間。時価総額6,800億円超の規模を踏まえれば、トレンドの持続性を測るうえでむしろ健全な過熱度と言えます。一目均衡表は雲の上にあるものの三役好転はまだ成立しておらず、転換線と基準線が同値で並ぶ成立目前の段階です。次の焦点は、7,000円を終値で明確に上抜けられるかどうかになりますが25日線がスクイーズしており上昇の力はまだ弱いものと思われます。押し目を考えるなら、5日線と本日の上げ窓の下限が重なる6,500円前後がまず下値の目安で、より深ければ25日線の通る6,360円前後。後者を終値で割り込むようなら、6,000円~7,000円のレンジ相場継続と見るべきでしょう。
ソリトンシステムズ(3040)
昨日の本欄では、2020年につけた上場来高値2,302円を明確に上抜けられるかが当面の焦点だと記しました。その節目に、本日さっそく手が届いています。寄り付きから底堅く推移すると、後場には2,313円まで上値を伸ばして2020年来の上場来高値更新を果たしました。ITセキュリティを主力とする同社は特段の新規材料こそ見当たりませんが、新興・中小型株が広く売られた本日の地合いのなかで逆行高を演じており、前回指摘した相対的な強さがそのまま続いています。上ヒゲのほとんどない陽線で、買い意欲の堅さがうかがえる一日でした。
ここに注目!: 連日の上昇にもかかわらず、過熱感は穏やかなままです。25日線乖離率は+14%台にとどまり、ボリンジャーバンドの帯域も横ばい。平均値幅率は2%台と値動きは落ち着いており、無理のないトレンド継続といえる状態です。気になるとすればRSI14が78前後まで上昇している点で、短期的な過熱は意識しておきたいところですが、移動平均線はパーフェクトオーダー、一目均衡表も三役好転と、土台は引き続きしっかりしています。信用買残は出来高の3日分強と特段重くはなく、需給面の重しも限定的です。当面の最大の焦点は、本日ザラ場で触れた2,302円を終値で明確に上抜けられるかどうか。これを突破すれば上方の真空地帯がより開けてきます。押し目を考えるなら、5日線とボリンジャーバンドの+1σが重なる2,150円前後がまず下値の目安で、より深ければ25日線の通る1,990円前後。後者を終値で割り込むようなら、上昇の勢いがいったん止まったと見るべきです。
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気になる上場来高値間近銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
三越伊勢丹ホールディングス(3099)
地合いが崩れ、東証プライムの約7割が値を下げた本日、堂々と逆行高を決めたのがこの百貨店最大手です。前日比+6.96%の3,583円まで買われ、ザラ場では3,588円と年初来高値を更新しました。月初に出そろった5月の百貨店各社の売上動向でインバウンド需要の好調が改めて確認されたことが買い材料となったとみられます。原油高で機械・自動車・商社といった景気敏感株が売られる裏で、内需・インバウンド関連へ資金が向かう循環物色の受け皿となった格好です。終値ベースでは過去の最高値3,674円まで3%弱の距離が残ります。
ここに注目!: ボリンジャーバンドの帯域が足元で拡張に転じ、本日は+2σを上抜けて+3σに接近する強い動きとなりました。25日線乖離率は+12%台、RSI14は70をやや上回る水準と、過熱の入り口にさしかかっています。一目均衡表は三役好転を維持しており、雲の上での上値追いは構造的に強い状態です。信用面では売残が買残を大きく上回る取り組みで、戻り売りに押されにくい地合いが下支えとなっている可能性があります。終値では上場来高値の3,674円までなお3%弱の距離がありますが、ザラ場ではその手前まで迫る場面もあり、節目突破への意識が高まりつつあります。押し目を考えるなら、5日線の通る3,370円前後や直近の上げ窓を支えに、+1σの位置する3,340円前後まで乖離が縮小した場面が一つの目安です。より深ければ25日線の通る3,180円前後で、ここを終値で割り込むようなら上昇の勢いはいったん止まったと判断する水準になります。
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