本日の相場概況
本日の上場来高値更新銘柄数は21銘柄でした。
売られ続けた3日間から一転、東京市場は4営業日ぶりに反発しました。日経平均は前日比924円高の67,743円。寄り付きから上げ幅を一気に広げ、一時は1,600円を超える上昇で68,000円台を回復し、高値68,447円まで駆け上がる場面もありましたが、買い一巡後は伸び悩んで引けています。牽引したのは半導体でした。前日の米国市場ではNYダウが-1.09%と大幅に続落する一方、ハイテク中心のナスダック100は+0.27%、S&P500は-0.28%と指数間で明暗が分かれ、その裏でフィラデルフィア半導体株指数は2%を超えて上昇。この流れを引き継ぎ、キオクシアが一時11%高となるなど、AI・半導体関連に見直し買いが集中しました。米著名ファンドによる保有株全売却という逆風の報道を跳ね返しての急反発で、中国がエヌビディアの一部AI半導体について国内企業の限定的な購入を容認する方針と伝わったことも追い風となっています。
もっとも、指数の見た目と中身は大きく食い違いました。TOPIXは13.94ポイント高の4,020.37と+0.35%にとどまり、東証プライムの騰落は値上がり585に対して値下がり917と、全体の6割弱が下落しています。日経平均の大幅高は、アドバンテスト・東京エレクトロン・キオクシアといった指数寄与度の大きい数銘柄が押し上げた色彩が濃く、指数高・中身安の様相が鮮明でした。しかも、この一週間相場を支えてきた「脱キオクシア」の循環物色は、本日は明確に逆回転しています。前日まで買われていた銀行・内需バリューが一転して軟調に沈み、資金は再び半導体へと巻き戻されました。
本日上場来高値を更新した21銘柄の顔ぶれにも、その変化がにじみます。前日48、その前は78と厚みを増していた更新数は21へ急減し、14行を数えた銀行株は群馬銀行・滋賀銀行の2行まで細りました。代わりに残ったのは、SHINKO・南陽・ヤギ・SPK・高速といった卸売株、リクルートホールディングス・ユー・エス・エスなどのサービス株、インターネットイニシアティブを含む情報・通信株と、業種のばらけた面々です。時価総額17兆円のリクルートが+2.67%で最大の更新銘柄となった一方、避難先テーマとしての銀行・ディフェンシブの塊は解け、物色はいったん拡散した印象を受けます。売買代金は約9.6兆円と前日の約11.1兆円から一段と細り、10兆円を割り込みました。半導体反発は素直に好感しつつも、値上がり銘柄の乏しさと商いの細りは、自律反発・買い戻し主導の色彩を映しています。中東情勢の再燃と原油高で空運・運輸が売られ、長期金利は1996年以来の高水準を連日更新するなど、上値追いを手放しで楽観しづらい材料も同居した一日でした。
気になる上場来高値更新銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
ニッタ(5186)
ゴム製品が本日の下落業種に沈むなか、ニッタはその流れに逆らって上場来高値を更新しました。業種分類こそゴム製品ですが、収益柱のひとつは半導体製造装置向け製品であり、半導体関連が総じて買い戻された地合いにしっかり乗った格好です。5月末に取り上げて以降も上値追いの流れは崩れず、本日は前場に6,580円まで買われて高値を更新。前回、中期の拾い場として挙げた25日線はいまや6,000円台まで水準を上げており、トレンドは着実に階段を上ってきた印象です。もっともその後は6,580円から230円あまり値を消し、上ヒゲを残して6,350円で引けています。高値をつけたのは前場で、後場は上値が重く、上場来高値更新後に利益確定の売りに押された一日でした。出来高は25日平均の2.5倍程度に膨らんでおり、大商いを伴った上ヒゲは、短期資金の利食い圧力として意識しておきたいところです。
ココに注目!:過熱感はまだ限定的です。25日線乖離率は4%台、RSI14も66前後にとどまり、ボリンジャーバンドは帯を切り上げながら+1σから+2σの強気圏に収まっています。移動平均線はパーフェクトオーダー、一目均衡表も三役好転を保ち、75日線・200日線からは+19%・+37%と大きく上放れて、中長期のトレンドの強さは揺らいでいません。ただ本日の長い上ヒゲが目先の上値の重さを示した以上、当面は6,070〜6,240円処に集まる5日線・ボリンジャーバンド+1σ・25日線の帯が下値の支えとして意識されます。過熱がきつくないぶん、押し目を拾うならこの支持帯まで熱を冷ましてからのほうが分がありそうです。逆にこの帯を終値で明確に割り込むようだと、上昇の勢いはいったん一服と見ておくのが無難です。
イチネンホールディングス(9619)
出来高が25日平均の3倍に膨らんだ大商いが、この日の主役でした。イチネンホールディングスは2月10日以来、約5ヶ月ぶりに上場来高値を更新。長く続いた持ち合いを、+4.22%の大陽線で上放れてきました。本日は前日終値から窓を開けて寄り付くと、安値をほぼ寄り値に置いたまま終始買いが優勢で、高値引けに近い2,299円で取引を終えています。平均値幅率が1%台という、普段は値動きの穏やかな銘柄だけに、3倍の出来高を伴う今日の陽線はチャートの節目としての意味を持ちます。目立った新規材料は見当たりませんが、サービス業が本日の数少ない上昇業種の一角だったことも、地合いの後押しとなったとみられます。
ココに注目!: 見どころは、ボリンジャーバンドの収縮を上放れた点です。帯は直前まで幅を狭めていましたが、中心線である25日線を切り上げながらパーフェクトオーダー・三役好転を保っての高値更新であり、方向感の定まらないレンジのコイルではなく、上昇途中の小休止からの上放れと読むのが自然です。25日線乖離率は4%台、平均値幅率も低く、過熱感はまだ穏やかで上値を試す余地は残っています。ただRSI14は70前後まで上がり、短期的な過熱の入り口にはさしかかりました。本日開けた窓の下限は2,230円付近にあり、ここに5日線も重なっています。この2,230円処を割らずに保てるうちは上昇シナリオが素直に効きますが、窓を終値で埋めて25日線の2,200円付近を明確に割る展開になれば、上放れはいったん仕切り直しと見ておきたいところです。押し目を考えるなら、この2,230円処のゾーンまで小幅に調整した場面が当面の一案になります。
ユー・エス・エス(4732)
6月上旬にこの銘柄を更新間近として取り上げた際は、持ち合いの上限を終値で明確に上抜けることを本格上放れの条件としていました。本日はその上限をあっさりと突破し、上場来高値を更新しています。ただし、中身は額面どおりの強さとは言い切れません。寄り付きこそ前日終値を7%上回る2,131.5円まで一気に買われ、そこがそのまま本日の高値かつ上場来高値となりましたが、その後は終日じりじりと売りに押され、一時は前日終値近辺の1,990円まで値を消しました。引けにかけてやや戻したものの、終値は2,006.5円と、寄り値から125円安い大陰線で着地しています。前日比こそ+0.75%を確保したものの、上場来高値は寄り付きの一瞬でつけたもので、その水準を買った参加者が報われた一日ではありませんでした。目立った新規材料は見当たらず、バリュー株が一転軟調となった地合いのなかで、ディフェンシブとしての寄り付きの買いが続かなかった印象です。
ココに注目!: 最も気になるのはRSI14が72前後と、過熱圏の70を上回ってきた点です。ボリンジャーバンドの+2σから+3σの帯に位置しながらの大陰線であり、短期的な過熱と利益確定圧力が同居しています。一方で信用買残は出来高の0.1日分と極めて軽く、上値での戻り売りとなる信用の重石はほとんど見当たりません。当面の下値の目安は、本日いったん下げ止まって切り返した1,990円前後です。ここは前日終値とほぼ一致し、少し下には5日線が控えています。この水準を終値で維持できるうちは、寄り天の大陰線もあくまで過熱調整の範囲と見ておけます。逆にこの1,990円処を明確に割り込むと、本日の急落に続く下押しとなり、25日線の1,900円付近をうかがう調整に発展しやすくなります。押し目を考えるなら、5日線とボリンジャーバンド+1σが位置する1,950円前後まで過熱が冷めた場面が一案です。
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気になる上場来高値間近銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
吉野家ホールディングス(9861)
前日の取引終了後に発表された第1四半期(3〜5月期)決算が、この日の急伸の引き金でした。大幅な増益となった内容が好感され、寄り付きから前日比3%を超える水準に買われると、ザラ場では昨年来高値を上回る3,525円まで一段高。上場来高値3,585円まであと2%弱に迫る場面もありました。ただ、そこから上値は続かず、利益確定に押し戻されて上ヒゲを残し、終値は3,361円と前日比+0.96%にとどまっています。決算そのものは素直に評価されたものの、高値を買った参加者が報われるほどの勢いは続かなかった、というのが本日の実態です。牛丼という生活必需品に近い事業を持つディフェンシブ性と外食の好調が重なり、このところ水準を大きく切り上げてきた流れの延長線上にある動きといえます。
ココに注目!: 決算を受けて、ボリンジャーバンドが直近5日で帯域をほぼ倍に急拡大させ、価格は+2σから+3σの過熱圏に浮上しました。これは持ち合いのコイルが解けたというより、材料一発でボラティリティが跳ねた拡張であり、勢いが落ち着けば中心線方向への揺り戻しも入りやすい形です。RSI14は68前後と過熱の一歩手前、25日線乖離率は7%超まで開いてきました。需給面では、信用売残が買残を大きく上回る貸借倍率0.3倍台の売り長で、上値では踏み上げが効きやすい状態です。まずは本日の高値3,525円を終値で超えられるかどうかが、上場来高値の更新に向けた当面のカギになります。押し目としては5日線の3,280円付近が浅い候補、より深く調整するなら25日線と7月3日の窓の下限が集まる3,120円処が意識され、この窓を終値で埋めるようだと、決算後の上放れはいったん仕切り直しと見ておきたいところです。
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