本日の相場概況
前日の米国市場は3指数がそろって続落しました。NYダウは405.41ドル安の52,380.66ドルで-0.77%、S&P500は37.16ポイント安の7,636.36で-0.48%、NASDAQ100は86.15ポイント安の29,421.55で-0.29%です。ホルムズ海峡をめぐる米国とイランの緊張から原油先物が7営業日続伸して3か月半ぶりの高値をつけ、物価の上昇が再び強まるとの警戒に長期金利の上昇が重なりました。
東京市場も売りが先行し、日経平均は前日終値を374円下回る64,768円で寄り付いたあと、中東情勢の混迷が長引くことへの警戒から一時は956円安の64,186円まで下げ幅を広げています。流れを変えたのは金融株でした。金利の上昇を追い風に証券・銀行・保険へ買いが入り、後場には台湾積体電路製造(TSMC)の8月の月次売上高が好調だったことを手掛かりに、半導体株が買い直されています。終値は128円高の65,270円、+0.20%と3日ぶりの反発で、高値引けです。日中の値幅は1,084円ありました。TOPIXも7.94ポイント高の4,054.58、+0.20%と高値引けでした。指数を押し上げたのはアドバンテストとリクルートホールディングスで、この2銘柄で約315円分にのぼります。同じ半導体でも東京エレクトロンは押し下げ要因の首位で、買いは銘柄を選んでいました。グロース250は1.52ポイント安の782.24、-0.19%と戻りに加われていません。
東証プライムの値上がりは723銘柄、値下がりは783銘柄でした。前日の601・920から値上がりは増えましたが、なお下げた銘柄のほうが多く、指数の高値引けほどには裾野が広がっていません。売買代金は8兆3,803億円で、前日から8,500億円ほど減りました。値上がり業種の上位は証券・商品先物取引業、サービス業、銀行業、保険業。値下がりの上位は非鉄金属、その他製品、建設業で、前日に値上がり率首位だった非鉄金属が一転して売られ、フジクラが指数の押し下げ要因の上位に入っています。商いが細るなかで、買いは金利上昇の恩恵を受ける金融と、指数への寄与が大きい一部の値がさ株に絞られました。
上場来高値を更新した銘柄は13に増えました。前日は9銘柄です。最も多かったのは銀行業の4銘柄で、秋田銀行、山形銀行、岩手銀行、北日本銀行と、東北地方を地盤とする地方銀行がそろいました。金融株に買いが向かった流れと重なります。次いで卸売業の3銘柄で、トーメンデバイス、アイスコ、サンワテクノスが並びます。情報・通信業からは網屋と沖縄セルラー電話の2銘柄です。時価総額1兆円を超えたのは出光興産の1.98兆円だけで、残りは中小型でした。上昇率の首位は網屋の+8.37%、次いでトーメンデバイスの+6.72%、山形銀行の+6.70%です。オンコリスバイオファーマは7日から4営業日続けて顔を出しました。13銘柄のうち前日比マイナスで引けたのは、出光興産とフルヤ金属の2銘柄にとどまります。前日は9銘柄中3銘柄でした。市場全体では値下がり銘柄のほうが多かった日にも、高値を更新した側では大半の銘柄が前日比プラスを保って引けています。
気になる上場来高値更新銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
網屋(4258)
7月6日に取り上げたときの網屋は、RSI14が82前後、25日線乖離率が39%超という過熱の極みで上場来高値を更新していました。本日はRSI14が64前後、乖離率も+13%台と数字を大きく冷ました状態から5,230円まで上値を伸ばし、8月13日以来の上場来高値更新です。同社はこの日、全国72劇場を展開するTOHOシネマズへ、米ユビキティのUniFiシリーズのネットワーク機器を提供し、業務用Wi-Fiの導入を支援した事例を公表しており、これが買いを誘ったとみられます。買いは日中を通して途切れず、後場に入って一段高となり、引け際の時間帯に当日の高値をつけました。始値から385円上で引けた実体の厚い大陽線で、終値は+8.37%の5,180円。出来高は25日平均の2倍です。グロース250が下げた日に、新興株のなかで独自の強さを見せました。
ここに注目!: 9月2日と3日に2日続けて4,115円で下げ止まったあと、日々の安値は4,190円、4,320円、4,425円、4,690円、4,775円と5営業日続けて切り上がり、この間に終値は1,000円近く水準を上げました。押すたびに買われる位置が高くなっていく形です。7月に下値の目安として挙げた4,400円付近は、9月2日から4日にかけて終値でも下回り、4,115円で下げ止まってから切り返しています。一方、ボリンジャーバンドの中心線は5日前比で+1%台の切り上がりにとどまり、±1σ幅もほぼ横ばいです。株価の戻りが速かったぶん、帯のほうはまだ追いついていません。終値5,180円は+2σの5,060円付近を上回り、+3σの5,310円付近の手前に位置します。7月は+3σを突き抜けて走っていましたが、本日は+3σの内側での更新でした。数値に余裕を残したまま上場来高値を塗り替えた点は、上昇の持続を考えるうえで前向きに読めます。移動平均線はパーフェクトオーダー、一目均衡表は三役好転が成立しています。直近1年の上場来高値更新は本日で3回目と、更新の常連というほどの実績はまだありません。
注意したいのは値動きの荒さです。平均値幅率は5%を超え、1日に300円近い値幅が出るのが平常の銘柄で、9月2日には1日で-7%台の下げも記録しています。7月に1倍を割り込んでいた貸借倍率は1倍台へ戻り、信用買残は出来高25日平均の1.0日分と、上値で重しになるほど積み上がってはいません。
継続の目安は、+1σと5日線が集まる4,700〜4,800円のゾーンを終値で保てるかどうかです。本日の安値4,775円もこのゾーンの中にあります。ここを終値で割り込むと、5営業日続いた押し安値の切り上がりが途切れます。さらに25日線の4,550円付近まで沈むようだと、9月2日に急落する前の水準まで押し戻されたことになり、本日の更新は上放れではなく戻りの延長だったと見直す場面です。
出光興産(5019)
昨日に更新間近として取り上げた出光興産が、本日は節目を越えました。前日の米国市場で原油先物が7営業日続伸し、3か月半ぶりの高値をつけた流れを受けて、株価は前日の高値1,660円を上回る1,698円で始まり、高値は1,708.5円。4月7日以来5か月ぶりの上場来高値更新です。もっとも終値は1,650円と始値を48円下回る陰線で、前日の終値もわずかに割り込みました。日経平均が安値から切り返して高値引けとなった日に、同社は高く始まって始値を下回って引ける逆の形です。前日に+7%台の急伸を演じた直後で、原油高の手掛かりが続いても、一段の上値を買う動きは限られたとみられます。それでも出来高は25日平均の1.62倍と、前日に続いて商いは膨らんでいます。
ここに注目!: 終値1,650円はボリンジャーバンドの+2σにあたる1,620円付近を上回っており、押し戻されながらも+2σの上で持ちこたえました。高値からの押しは60円ほどで、上場来高値を更新した日の値動きとしては崩れと呼ぶほどではありません。帯の中心線は5日前比で+4%台の切り上がりと、前日の+3%台からさらに加速しています。±1σ幅も5日前の1.6倍に広がったままで、値動きを大きくしながら価格帯ごと上へ移る形が続いています。昨日に挙げた確認点も生きています。継続の目安とした9日の窓の下限1,552円は終値で維持され、本日の安値1,629円はその窓より上にとどまりました。押し安値も9日の1,597円から本日の1,629円へ切り上がっています。直近1年の上場来高値更新は本日で19回目です。更新を重ねてきた常連が、5か月の空白をはさんで記録を塗り替えました。
RSI14は70台後半、25日線乖離率は+17%台と、前日からわずかに数字を落としながらも高い水準にあります。ただ帯の位置の切り下がり、押し安値の切り下げ、終値での+1σ割れといった崩れの兆候は、本日も出ていません。平均値幅率は2%台と落ち着いています。前日に未成熟と書いた土台は変わらず、75日線がなお200日線をわずかに下回ったままです。
上昇が続くと見るうえでの目安は、終値で+2σの1,620円付近を保てるかどうかです。割り込んだ場合には、9日の窓の下限と5日線が並ぶ1,550〜1,570円のゾーンが控えます。ここを終値で下回ると、窓を埋めたうえでさらに下押しする動きとなり、9月に入ってからの段階的な水準の切り上がりはいったん途切れます。+1σは1,510円付近、9月2日と4日の安値は1,460円付近で、そこまで沈む展開は原油高を手掛かりにした上昇そのものの見直しを意味します。
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気になる上場来高値間近銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
安田倉庫(9324)
9日の取引終了後に提出された大量保有に関する報告書で、英ロンドンに本拠を置く投資会社ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンドと共同保有者の保有割合が5%を超えたことが明らかになりました。保有目的には投資と経営陣への助言に加え、状況に応じた重要提案行為が挙げられています。これを手掛かりにした買いが入り、本日は窓を開けて始まって、2月13日につけた上場来高値と同じ2,667円まで買われました。高値をつけたのは寄り付き直後の時間帯で、日中は2,591円まで押す場面もありましたが、終値は+2.85%の2,633円です。出来高は25日平均の2.31倍に膨らみました。上下にヒゲを伸ばした実体のごく小さな足で、上場来高値と同じ値段で上値を止められた形です。
ここに注目!: 同社が最後に上場来高値を更新したのは2月13日です。直近1年で12回の更新を重ねてきた常連ですが、そのとき記録した2,667円が7か月近く上値の節目として残ってきました。本日はその値段にザラ場で並び、終値ではあと1%強の距離です。ボリンジャーバンドの+3σも2,670円付近にあり、上場来高値とほぼ同じ位置に帯の上限が重なっています。8月28日以降、株価は2,490〜2,570円のレンジを行き来し、高値は2,572円までにとどまっていました。本日はその上限を出来高2倍超を伴って上抜け、終値でも+2σの2,630円付近を上回って引けています。ただ±1σ幅は5日前から縮んでおり、帯の中心線も5日前比でほとんど動いていません。帯が細るなかでのレンジ上放れで、勢いを裏付けているのは帯の広がりではなく商いの膨らみのほうです。移動平均線はパーフェクトオーダー、一目均衡表は三役好転が成立しており、上昇の土台は整っています。
7月15日に取り上げたときは、上場来高値まで3%台の距離があり、下値の目安として2,470〜2,490円を挙げていました。8月28日以降の10営業日でみると、安値は9月2日の2,492円が最も低く、この水準の上で踏みとどまっています。当時1倍台だった貸借倍率は1倍を割り込み、売残が買残をわずかに上回る形に変わりました。買残は出来高25日平均の0.5日分と軽い水準です。RSI14は66前後、平均値幅率は1%台と、値動きは落ち着いています。
上昇が続くと見るうえでの目安は、レンジの上限だった水準を終値で保てるかどうかです。5日線・一目均衡表の転換線・+1σが2,570〜2,590円のゾーンに集まっており、ここを維持しているあいだは本日の上放れは生きているとみられます。終値で2,667円を上抜ければ、この節目を越えることになります。反対にゾーンを割り込めば、元のレンジへ戻ったことになります。さらに9月2日と4日の安値に雲の上端が重なる2,490〜2,500円付近を下回るようだと、上昇の流れそのものを見直す場面です。
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