本日の相場概況
本日の上場来高値更新銘柄数は51銘柄でした。
寄り付きの369円高が一日のうちにどれだけ意味を失うか、その見本のような展開でした。日経平均は62,734円で始まって63,138円まで買われたあと、前場中ごろにマイナス圏へ沈み、後場には60,448円まで叩き売られています。下げ幅は一時1,900円を超え、ザラ場で約2カ月ぶりに61,000円を割り込みました。終値は930円安の61,434円。それでも安値からは1,000円近く戻して引けています。
前日の米国市場はNYダウが+1.03%と3日続伸し、S&P500も+0.21%とプラスを確保しましたが、NASDAQ100は-0.98%と下落しました。フィラデルフィア半導体株指数は4日続落です。格付け会社が世界のリスク見通しでAIへの大規模投資が主要な信用リスクになり得ると警告したこと、米半導体製造装置大手の決算後に時間外で急落したこと、そこへ韓国総合株価指数の急落が重なりました。キオクシアホールディングスは-13.85%と4万円を割り込み、KOKUSAI ELECTRICが-17.68%、SCREENホールディングスが-17.25%。下落率の上位は半導体一色です。加えて前日夕方に熊本県で最大震度7の地震が発生しており、製造業のサプライチェーンへの警戒も重しとなりました。
ところが市場全体は、指数の数字が示すほど弱くありません。TOPIXは10.44ポイント高の3,974.03と上昇し、東証プライムの値上がりは1,044銘柄で全体の約68%を占めました。値下がりは491銘柄にとどまります。指数の急落と中身の強さがこれほど食い違う日は珍しく、下落は値嵩の半導体・AI関連という一点に集中しました。売買代金は13兆1,999億円と前日の9兆1,959億円から4兆円も膨らんでおり、投げと拾いが同時に大量発生した一日です。一方でグロース250は10.45ポイント安の666.12と下げており、中小型のグロース株までは資金が回っていません。業種別では輸送用機器、ゴム製品、サービス業、陸運業、空運業が上昇し、非鉄金属、ガラス・土石製品、電気機器、金属製品、建設業が下落しました。
資金の行き先は、上場来高値を更新した51銘柄の顔ぶれにはっきり出ています。食料品と小売業がそれぞれ9銘柄、卸売業が8銘柄と、この3業種だけで全体の半分を超えました。ニップン、キユーピー、ニチレイ、雪印メグミルク、日本たばこ産業が並び、小売はサイゼリヤ、吉野家ホールディングス、大戸屋ホールディングス、ブロンコビリーと外食が目立ちます。卸売もスターゼン、トーホー、メディパルホールディングスと食品・医薬の流通が中心でした。時価総額18兆円超のリクルートホールディングスから72億円の神田通信機まで規模はばらばらで、大型主導とも中小型主導とも言えません。テーマそのものへの資金移動です。
目を引くのは、銀行業が一つも入らなかったことです。24日は23銘柄、27日は40銘柄が名を連ねていた銀行が、本日は姿を消しました。金融は保険2銘柄とその他金融3銘柄の計5銘柄のみです。半導体を売って金利へ、という7月下旬の付け替えは、28日に続いて本日も金利側から資金を引き上げ、食品・小売・生活必需の側へ回しました。明日から日銀の金融政策決定会合が開かれます。金利上昇を素直に買う動きが結果を待つ姿勢に傾いた可能性も意識されそうです。
気になる上場来高値更新銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
サガミホールディングス(9900)
「上場来高値2,067円までは残り0.5%程度」と書いた翌日に、あっさりその上を抜けてきました。しかも抜け方が違います。本日は2,061円で始まったあと前場のうちに2,161円まで買われ、後場には2,184円まで上値を伸ばしました。半年近く頭を押さえていた2月の高値を、たった一日で100円以上も置き去りにした格好です。終値は106円高の2,161円。高値からは押されたものの、実体の太い陽線で引けました。出来高は25日平均の1.8倍です。本日は特段の新規材料は見当たりませんが、外食が上場来高値更新の一覧を埋めた本日の資金の流れに、真正面から乗った動きでした。なお8月30日を基準日とする1株を2株とする株式分割を7月上旬に公表しており、権利取りの意識が上値を軽くしている面もありそうです。
ココに注目!:RSI14が87台という数字は、そう頻繁に見るものではありません。ボリンジャーバンドは+2σと+3σの間にあり、±1σ幅は5日前の1.5倍へ拡張、中心線も5%超切り上がっています。25日線乖離率は+21%台まで開きました。ここまでは強さの裏返しですが、移動平均線の並びはなお混在で、25日線が200日線をまだ上抜けていません。長期のトレンド転換は確認しきれておらず、足元の急騰はまだ若い段階にあります。貸借倍率0.14倍と売残が買残を大きく上回る構造も続いており、買い戻しが上値の軽さを支えている可能性があります。押し目として現実的に検討できるのは、5日線とボリンジャーバンドの+2σが重なる2,000〜2,070円のゾーンです。ここには2月の上場来高値2,067円も含まれ、抜けた節目が支えに変わるかを見るには格好の水準になります。この帯まで接近する場面は拾い場として意識されそうですが、終値で明確に割り込んで戻せないようなら、本日の上放れは不発と見るべきでしょう。25日線がある1,780円前後まで下げる展開は押し目ではなく、上昇の流れそのものが調整に入ったことを意味します。
理研ビタミン(4526)
派手さはまったくありません。7月に入ってからは高値圏でもみ合いを続けていました。値幅の乏しい退屈な状態が続いていたところへ、本日は3,220円で寄り付き、そのまま前場のうちに3,295円まで上値を伸ばしています。終値は3,280円。直近2週間の上限だった3,200円台前半を、終値ではっきり上回りました。出来高は25日平均の1.5倍で、抜けるべきところで商いが増えたのは好材料です。本日は目立った材料は出ていませんが、食料品が上場来高値更新の一覧に9銘柄も並んだ資金の動きと歩調が合っています。
ココに注目!: この銘柄で最も重要なのはボリンジャーバンドの形です。±1σ幅は5日前の0.8倍まで絞られており、帯が狭まったところからの上放れという典型的な形になりました。中心線は1%台の切り上がりで、方向感のないコイルではなく上向きの土台の上での収縮です。しかも終値は+3σにほぼ張り付き、高値では+3σを上回りました。25日線乖離率は+4%台と、これだけ上げてもまだ穏やかな水準にとどまっています。RSI14は75前後で過熱圏に入りましたが、平均値幅率は1%台と値動きは落ち着いており、日々の振れで振り落とされにくいタイプです。今後の焦点は、抜けた3,200円の水準を支えに変えられるかどうか。ここを保つ間は上放れが生きています。押し目としては、5日線とボリンジャーバンドの+1σが重なる3,180円付近が最初の目安になります。その下、25日線がある3,130円前後を終値で割り込むようなら、上放れは不発でレンジへの逆戻りと見るのが自然です。
ダスキン(4665)
指数が930円下げた日に、清掃用具レンタルとミスタードーナツの会社が2営業日連続で上場来高値を更新しました。本日は4,605円で始まったあと朝方に4,574円まで押す場面がありましたが、そこで買いが入って切り返し、後場に4,752円まで上値を伸ばしています。終値は4,699円。高値からはやや押されたものの、しっかりした陽線で引けました。出来高は25日平均の1.5倍です。本日は直接的な手掛かりとなる材料は確認できませんが、サービス業が東証33業種の上昇率上位に入った流れのなかでの高値更新でした。
5月中旬に上場来高値更新間近として取り上げた際、一目均衡表の三役好転が未成立であること、25日線が200日線を下回っていることを強さの制約として挙げました。この二つは、いまはいずれも解消しています。移動平均線は5日線から200日線まできれいに順番に並んだパーフェクトオーダーとなり、三役好転も成立しました。取り上げた当時の懸念を、この2カ月余りで一つずつ潰してきた形です。
ココに注目!: ボリンジャーバンドの±1σ幅は5日前の0.8倍と収縮しています。ただし中心線は1%台の切り上がりで、移動平均線がパーフェクトオーダーのまま高値を更新している最中の収縮ですから、方向感を失ったのではなく上昇途中の小休止と読むのが自然です。ここから帯ごと上へ放れれば一段高につながりやすく、逆に+2σや5日線を終値で割り込めば中心線方向への引き戻しが意識されます。25日線乖離率は+5%台、RSI14は71前後と、過熱の度合いはまだ穏当な範囲です。貸借倍率0.65倍と売残が買残を上回っている点も、上値の重さになりにくい構造といえます。押し目の最初の目安は4,450〜4,550円のゾーン。ここには5日線、ボリンジャーバンドの+1σ、25日線、一目均衡表の基準線が集まっています。この帯を終値で明確に下抜ければ、7月下旬からの上昇はいったん仕切り直しです。より深く、75日線のある4,200円前後まで下げる展開になれば、上昇トレンド自体の見直しが必要になります。
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気になる上場来高値間近銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
小松製作所(6301)
一日のなかで、これほど表情が変わる銘柄も珍しいところです。本日は6,711円と前日終値をわずかに下回って始まり、後場に入ってからは指数の急落に連れて6,722円まで売られていました。その空気が一変したのが14時30分です。第1四半期決算とあわせて通期の税引き前利益予想の上方修正が発表されると、残り30分で株価は7,452円まで駆け上がりました。終値は515円高の7,265円。後場の安値から1割超も切り上げた計算になります。出来高は25日平均の2.79倍。日経平均が2カ月ぶりの安値を試したその同じ時間帯に、時価総額6兆円超の大型株が逆方向へ走った一日でした。上場来高値7,840円までは、終値ベースで7%超の距離が残っています。
ココに注目!:終値がボリンジャーバンドの+3σを上回り、±1σ幅も5日前の1.6倍へ拡張しました。決算に反応した典型的なバンドウォークの入り口です。もっとも、RSI14は68台とまだ70に届いていません。長く続いたもみ合いのなかからの急伸だったため、指標上の過熱はこれからという段階です。むしろ注意すべきは移動平均線の並びで、25日線がなお75日線を下回ったままである点です。本日の一日で中期のトレンドが転換したわけではなく、一目均衡表の三役好転も転換線と基準線が同値のため成立していません。平均値幅率も3%程度あり、日々の振れは決して小さくない銘柄です。押し目として意識されやすいのは6,800〜6,980円の帯で、ここには27日の戻り高値、ボリンジャーバンドの+2σ、5日線、一目均衡表の基準線が集まります。決算で開けた上昇分をどこまで守れるかを測るには、この帯が最初の試金石になります。25日線と75日線が接近する6,500〜6,600円のゾーンを終値で割り込むようであれば、本日の上方修正が織り込み済みになったと判断すべきでしょう。
ゼンショーホールディングス(7550)
本日の上場来高値更新の一覧には、サイゼリヤ、吉野家ホールディングス、大戸屋ホールディングス、ブロンコビリー、サガミホールディングスと外食が並びました。同社もその勢いに乗り、9,967円で始まって一度9,869円まで押したあとは買い直され、後場に10,480円まで買われました。終値は10,325円と、上場来高値10,600円まであと2%台に迫っています。ザラ場では1%程度まで詰め寄る場面もありました。出来高は25日平均の1.5倍。目立った材料は出ていませんが、半導体から内需へという資金の付け替えを、外食のなかでも最も素直に受け止めた格好です。決算発表は8月上旬を控えています。
ココに注目!: ボリンジャーバンドの±1σ幅は5日前とほぼ同じですが、中心線が4%超も切り上がっており、帯そのものが上へ移動しました。幅が同じでも価格帯がひと回り上がっているという、上昇基調に典型的な形です。一方で±1σ幅は現値の1割を超える広さがあり、σとσの間を押し目ゾーンとして使える銘柄ではありません。25日線乖離率は+16%台、RSI14は76台と過熱の度合いは相応に強く、平均値幅率も3%台と値動きは荒めです。移動平均線の並びは混在で、25日線がまだ200日線を下回っている点は、この上昇がまだ中期のトレンド転換を確認しきれていないことを示しています。押し目としては、5日線、一目均衡表の転換線、ボリンジャーバンドの+1σが集まる9,500〜9,700円のゾーンが現実的な水準です。ここへ接近する場面は拾い場として意識されそうですが、終値で明確に割り込んで戻せないなら見立て違いを疑うべきでしょう。25日線のある8,850円前後まで下げる展開は押し目ではなく、7月下旬からの上昇そのものが調整に入ったことを意味する水準です。上値は10,600円を終値で明確に抜けたときに、はじめて真空地帯に入ります。
三菱HCキャピタル(8593)
貸借倍率20.85倍という数字だけを見れば、買い方に大きく傾いた重い需給に映ります。ところが買残を出来高25日平均で割ると0.6日分でしかありません。倍率が高いのは売残が極端に少ないためで、実際に上値を押さえるほどの買い残の厚みはない、というのがこの銘柄の需給の実態です。本日は1,490円で始まり、1,484円まで押したあとは一貫して水準を切り上げ、1,518円の高値のまま引けました。前日比51円高の高値引けです。出来高は25日平均の1.9倍。上場来高値1,542円までは、あと2%弱の距離まで迫りました。目立った材料は出ていませんが、東京センチュリー、リコーリース、日本取引所グループとその他金融業から3銘柄が上場来高値を更新しており、リース・金融周辺には資金が残っていたことがうかがえます。
ココに注目!: この銘柄の強みは移動平均線の並びにあります。5日線、25日線、75日線、200日線がきれいに順番に並んだパーフェクトオーダーで、一目均衡表も雲の上で三役好転が成立しています。しかも25日線と75日線はわずか10円ほどしか離れておらず、長い横ばいのあとに価格がその上へ抜け出した構図です。ボリンジャーバンドは中心線が2%台の切り上がりを伴いながら±1σ幅を広げており、帯ごと上へ動いています。RSI14は78台と過熱圏に入りましたが、25日線乖離率は+9%台、平均値幅率は1%台と、値動きの荒さで振り落とされる性質の銘柄ではありません。押し目としては、5日線、ボリンジャーバンドの+1σ、一目均衡表の転換線が集まる1,450〜1,470円のゾーンが最初の目安です。本日開けた窓はわずか13円ほどで支持帯としては機能しにくく、水準を見るならこちらを使いたいところです。このゾーンを終値で割り込むようなら短期の上昇は一服と見るべきで、25日線と75日線が重なる1,370〜1,385円まで下げる場合は、長く続いた上昇の流れそのものを見直す必要が出てきます。
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