本日の相場概況
本日の上場来高値更新銘柄数は68銘柄でした。
記録づくめの東京市場が、もう一段大台を切り上げました。日経平均は前週末比1,103円高の72,353円と8営業日続伸し、終値で初めて72,000円台に乗せました。ザラ場では72,831円まで買われ、前引け時点では上げ幅が一時1,500円近くに達する場面もありました。8連騰は2023年8〜9月以来です。TOPIXも前日比50.09ポイント高の4,095.05と最高値を更新しています。
買いの背景には二つの手掛かりがありました。一つは米国とイランの協議進展への期待で、ホルムズ海峡の安全な通航枠組みに関する報道も投資家心理を強気に傾けました。もう一つが前週末19日に判明した政府の官民投資の全容で、ロボットを自律的に動かすフィジカルAI分野に2040年度までに10.5兆円を投じる方針が示され、関連銘柄への買いを誘いました。直近の米国市場は、19日が奴隷解放記念日の祝日で休場のため18日の取引が最新で、NASDAQ100が+2.48%、S&P500が+1.08%、NYダウが+0.14%とハイテク中心の上昇となっており、東京市場もこの流れを引き継いでいます。実際の押し上げ役は、根強い先高観を背景とした海外投機筋の先物買いでした。
ここ数日と明確に変わったのは、資金の向かう先です。出遅れが目立っていたグロース250が前日比22.23ポイント高の717.31と+3.20%の大幅高となり、日経平均(+1.55%)・TOPIX(+1.24%)を上回りました。中小型のグロース株に資金が戻り、大型・値嵩株に偏ってきた構図がいくぶん和らいでいます。東証プライムの騰落も値上がり792に対して値下がり727と、小幅ながら値上がりが上回りました。
上場来高値を更新した68銘柄の中身を見ると、中心はやはりAI・半導体でした。村田製作所・イビデン・東京エレクトロンなどの電気機器、ディスコ・CKD・ローツェなど半導体製造装置を含む機械、日産化学・三菱瓦斯化学の化学、日本碍子・ニチアスのガラス・土石製品が並びます。これに加えて目立ったのがフィジカルAI関連で、直動・軸受けのTHK・日本トムソン、ミネベアミツミ、モーター用特殊鋼の大同特殊鋼が軒並み高く、官民投資の方針を素直に映しました。前日まで弱含んでいた金融も京都・滋賀・ほくほくの銀行とSOMPOホールディングスが戻り、J.フロント リテイリングや味の素といった内需・素材にも資金がにじんでいます。
一方、相場をけん引してきたキオクシアは本日+0.09%とほぼ横ばいでした。ザラ場では時価総額が一時60兆円を超え上場来高値を更新したものの、終値では前日比をほとんど動かしていません。前週末のように同社一銘柄が指数を引っ張る展開ではなく、買いがフィジカルAIや中小型グロースへ広がったことで指数が押し上げられた点が、本日の地合いの特徴です。もっとも売買代金は約9.8兆円と直近の11〜12兆円台から細っており、参加者全体が積極的に動いたというより、テーマを絞った資金がけん引したリスクオンと見るのが実態に近そうです。
気になる上場来高値更新銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
J.フロント リテイリング(3086)
主役は株価材料そのものでした。前週末19日の取引終了後、アクティビストとして知られる3Dインベストメント・パートナーズが同社株を5.10%保有する大株主に浮上したことが大量保有報告書で判明。純投資に加えて重要提案行為などを行う可能性に触れており、これを手掛かりに買いが殺到しました。本日は前日終値から大きく窓を開けて寄り付くと、寄り付き直後に2,999円と3,000円目前まで駆け上がって上場来高値を更新。その後はいったん2,725円まで利益確定に押される荒い値動きを挟みましたが、押し目買いを集めて始値とほぼ同じ2,905円で引け、終値ベースでも+15.90%の急騰となりました。実体の小さい長い下ヒゲを引いており、高値掴みを警戒する売りと押し目買いが激しく交錯した一日です。
ココに注目!:25日線乖離率は+26%超、RSI14も80前後と、テクニカルはすでに極度の過熱を示しています。ボリンジャーバンドは+3σを大きく上抜け、±1σ幅も5日前の1.8倍に急拡張しており、ボラティリティが一気に高まりました。アクティビストの思惑が一日で織り込まれた急騰だけに、当面の下値支持として意識されるのは、本日2,725円まで押す場面で押し目買いが入った2,700円台後半、すなわち2月につけた高値2,796円を含む水準です。さらに本日空けた窓を埋めにいくなら、窓の下限であり、4月上旬の戻り高値でもある2,600円前後を維持できるかが焦点となります。なお25日線・75日線はいずれも現値より20%以上も下にあり、ここまで下げる展開があれば今回の上昇劇は一旦終わりととらえるべきでしょう。25日線がなお75日線・200日線を下回る「混在」の並びは、この上昇がまだ一日きりの突発的な動きであることを物語っており、思惑の賞味期限と需給次第で値動きが荒れやすい点には留意が必要です。
安川電機(6506)
政府がフィジカルAI分野への官民投資方針を打ち出したことで、ロボットの世界大手である同社にも見直し買いが向かいました。寄り付き後ほどなく7,915円まで買われて上場来高値を更新し、5月25日につけた前回高値を約1カ月ぶりに上抜けています。後場はやや上値を抑えられたものの、+7.39%と力強い陽線で引けました。前回の上場来高値更新(5月25日)後に5月7日に開けた窓を埋める6,000円割れまで調整を入れ、そこから切り返してきた流れのなかでの新高値であり、仕切り直したうえでの再上昇という点に強さがにじみます。
ココに注目!:ここまで急騰してきた半導体・ロボット関連のなかでは、テクニカルの過熱感が比較的おとなしい点が特徴です。RSI14は65前後、25日線乖離率も+12%超にとどまり、ボリンジャーバンドの位置も+1σと+2σの間の強気圏で、+3σまで突き抜けた銘柄群とは一線を画します。移動平均線は5日線・25日線・75日線・200日線がきれいに上から順に並ぶパーフェクトオーダーで、トレンドそのものは強固です。貸借倍率は7倍台と買残に傾いていますが、出来高に対する買残回転日数は1日分にも満たず、需給の重さは限定的とみてよさそうです。過熱が穏やかな分、押し目は浅めになりやすく、5日線が位置する7,200円付近やボリンジャーバンドの+1σが通る7,300円付近まで乖離が縮んだ場面が拾いやすい水準です。少し本日の上髭は気になりますが、このまま+1σや5日線上を終値で維持できればバンドウォークへの移行も期待できそうです。上昇の勢いがそがれ25日線割れまで崩れる場合は、上昇のリズムそのものを見直す必要が出てきます。
アドテック プラズマ テクノロジー(6668)
半導体・液晶製造装置向けの高周波電源やプラズマ機器を手掛ける時価総額300億円台の小型株が、半導体物色の波に乗って連日の上場来高値を更新しました。ただし本日の中身はやや慎重に見たい内容です。前場のうちに4,095円まで買われて高値を更新したものの、後場は上値が重くなり、高値から200円近く水準を切り下げて3,905円で引けました。実体に対して長い上ヒゲを残しており、高値圏では短期資金の利益確定が出やすくなっていることがうかがえます。出来高は25日平均の1.5倍程度で、過去の急騰局面ほど過熱した商いではありませんでした。
ココに注目!: 25日線乖離率は+24%超、RSI14も72前後と過熱圏にあり、ボリンジャーバンドは+2σと+3σの間で±1σ幅も拡張中です。最も意識したいのは値動きの荒さで、平均値幅率は6%超と高く、1日で上下に大きく振れやすい銘柄です。小型で板が薄いため、本日のような長い上ヒゲは騙し的な動きにつながりやすく、高値追いには相応のリスクが伴います。信用買残は出来高の3.6日分程度とやや積み上がってきており、戻り待ちの売りも増えやすい地点です。現実的に意識される押し目は、5日線や19日に急騰した起点となる3,450円付近まで戻した場面です。終値で25日線を明確に割り込むようだと短期の勢いが冷えたとみるべきでしょう。
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気になる上場来高値間近銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
日工(6306)
アスファルトプラントで首位を走る土木用プラント専業のこの銘柄が、約6年半ぶりとなる上場来高値の更新に王手をかけています。2019年12月につけた919円が長らくの天井でしたが、前週末19日にザラ場で919円ちょうどまで肉薄し、本日も918円まで迫りました。終値ベースでは900円と、上場来高値まではあと2%程度の距離です。もっとも本日は天井を前に上値を抑えられ、917円で寄り付いたあと892円まで売られて900円で引ける小幅な陰線となりました。半導体やフィジカルAIといった派手なテーマとは無縁の、内需・インフラ系の地味な銘柄が静かに高値圏へ歩を進めている点が、足元の物色の裾野の広がりを映しています。
ココに注目!:平均値幅率は2%程度と値動きは穏やかで、ボリンジャーバンドの±1σ幅も狭く、半導体株のような荒さはありません。移動平均線は5日線・25日線・75日線・200日線がパーフェクトオーダーを保ち、緩やかな上昇のリズムが続いています。RSI14は67前後と、過熱というほどではありません。注意したいのは、6年半前の高値圏で買って戻りを待っていた向きの売りが919円前後で出やすいことに加え、貸借倍率が10倍を超えて買残に傾いている点で、これらが当面の上値の重しになりそうです。上放れを確認するうえでは、出来高を伴って終値で919〜920円を明確に上抜けるかどうかが鍵となります。それが実現すれば、上方に戻り売りのない真空地帯に入ります。押し目を考えるなら、5日線の880円台や、直近で上抜けた880〜890円台の保ち合い上限が下値の支えとして意識され、より深く押せば25日線の850円台が目安となります。
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