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「カップウィズハンドル」は、新高値・成長株投資の世界で最もよく知られたチャートパターンのひとつです。名前は知っていても、「カップの深さはどれくらいが理想?」「ハンドルはどこにできるのが良い?」「実際にどこで買えばいいの?」といった具体的な部分でつまずく方は少なくありません。
この記事では、カップウィズハンドルの基本的な形と3つの構成要素を整理したうえで、良いパターンと悪いパターンの見分け方、エントリー・損切り・利確の実践、そして日本株で使うときの注意点と銘柄の見つけ方までを順に解説します。
カップウィズハンドルとは、U字に推移したカップの右肩に小さな押し目(ハンドル)ができ、その高値を出来高を伴って上抜けた点を買いの起点とするチャートパターンです。株価がいったん下げて元の高値圏まで戻り、最後に短い調整(取っ手)を挟んでから再上昇する形を指します。米国の投資家ウィリアム・オニールが体系化したもので、上場来高値・新高値を更新する銘柄に頻繁に現れます。
カップウィズハンドルとは
カップウィズハンドル(Cup With Handle)は、ウィリアム・オニールが著書『オニールの成長株発掘法(原題: How to Make Money in Stocks)』で紹介し、世界的に広まったチャートパターンです。チャートの形が、取っ手(ハンドル)の付いたコーヒーカップに似ていることからこの名前がつきました。
ポイントは、これが底値を当てるためのパターンではないということです。カップウィズハンドルは、すでに上昇してきた銘柄がいったん調整(保ち合い)を挟み、再び上昇に転じる「継続のパターン」として現れます。オニールも、質の高いカップウィズハンドルは形成前に30%以上の上昇トレンドを伴っていることが多いとしています。
新高値投資の文脈では、長い調整を経た銘柄が上場来高値を更新していく直前に、このカップウィズハンドルがよく観察されます。
カップウィズハンドルの3つの構成要素
カップウィズハンドルは「カップ」「ハンドル」「ピボットポイント」の3つの部分で理解すると整理しやすくなります。

カップ(器の本体)
株価が高値から下落し、底を打って再び元の高値付近まで回復する、U字型のベース(保ち合い)部分です。
- 形成期間の目安:最短でも7週間程度、多くは3〜6か月かけて形成されます
- 深さの目安:高値から底までの下落率は15〜30%程度が一般的で、深くても3分の1(約33%)以内が目安とされます(下落相場ではこれより深くなることもあります)
- 形:なだらかな丸いU字が理想です。鋭いV字回復は、売り手の投げ(ふるい落とし)が十分に進んでいないサインとされ、相対的に信頼性が劣るとされます
ハンドル(取っ手)
カップの右側、元の高値付近まで戻ったところで、株価が小幅に下げて作る短い調整部分が「ハンドル」です。
- 位置:カップの上半分にできるのが理想です。カップの底近く(下半分)まで深く下げるハンドルは、まだ調整が終わっていない可能性を示します
- 期間と深さ:数日〜数週間で、調整幅は10〜15%以内に収まる小幅なものが望ましいとされます
- 出来高:ハンドル形成中は出来高が細っていくのが良い兆候です。売り圧力が枯れてきたことを意味します
ピボットポイント(仕掛け点)
ハンドル部分の高値が、エントリーの基準となる「ピボットポイント」です。株価がこのピボットポイントを出来高の急増を伴って上抜けた瞬間が、カップウィズハンドルにおける最も基本的な買いのタイミングになります。
良いカップ/悪いカップの見分け方
同じカップウィズハンドルでも、信頼性には差があります。以下のチェックリストで、形の質を見極めましょう。
良いパターンの特徴
- カップがなだらかな丸いU字を描いている
- カップの深さが15〜30%程度に収まっている
- ハンドルがカップの上半分にできている
- ハンドル形成中に出来高がしっかり細っている
- パターン形成前に明確な上昇トレンドがあった
避けたいパターンの特徴
- 鋭いV字でカップの底ができている(ふるい落とし不足)
- カップが深すぎる(3分の1を大きく超える下落)
- ハンドルがカップの下半分まで深く下げている
- ハンドル中も出来高が高いまま(売り圧力が残っている)
- 直前に上昇がなく、いきなり安値圏から形成されている

完璧な形はめったに現れません。すべてを満たさなくても、「丸いカップ」「上半分の浅いハンドル」「出来高の収縮」の3点が揃っていれば、注目に値するパターンと考えてよいでしょう。
エントリー・損切り・利確
形の良いカップウィズハンドルを見つけたら、次は具体的な売買ルールです。
エントリー
ハンドルの高値(ピボットポイント)を、出来高が25日平均比で2倍以上(最低でも1.5倍以上)に増えながら上抜けたタイミングが基本のエントリーポイントです。出来高を伴わない上抜けは、ダマシ(偽のブレイクアウト)になりやすいため見送ります。
損切り
エントリーと同時に、損切りラインを決めておきます。当ブログでは損切り幅をATR(平均真値幅)×2を基本ルールとして統一しています。ピボットポイントを明確に割り込んだ場合も、ベースが崩れたサインとして撤退を検討します。1トレードの最大損失は総資金の1%以内に収めるのが目安です。
【関連】資金管理・ポジションサイジング
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利確
カップウィズハンドルからのブレイクは、その後大きな上昇に発展することがあります。「天井で売る」ことを狙うより、株価の上昇に合わせて決済ラインを引き上げていくトレイリングストップで利を伸ばす方が、大化けを取り逃しにくくなります。具体的な利確の手法は別記事で詳しく解説しています。
【関連】株の利確タイミングはいつ?利益を最大化する売り方ガイド
成否を分けるのは「出来高」
カップウィズハンドルで最も重要なのは、実は形そのものよりも出来高の推移です。
理想的な流れは、「カップの底に向かうにつれて出来高が減り、回復局面で徐々に増え、ハンドルでいったん細り、ブレイクアウトで急増する」という形です。とりわけハンドルでの出来高収縮 → ブレイクでの出来高急増というコントラストが明確なほど、上抜けの信頼性は高まります。

逆に、ハンドル形成中も出来高が高止まりしている場合は、まだ売りたい投資家が多く残っている可能性があり、ダマシのリスクが上がります。
【関連】株の出来高の読み方
日本株で使うときの注意点
カップウィズハンドルはもともと米国株を対象に体系化されたパターンですが、日本株でも有効に機能します。ただし、日本市場特有の事情には注意が必要です。
- 値幅制限(ストップ高・ストップ安)があるため、ピボットを抜けた当日に買えず、翌日に持ち越されることがあります
- 出来高の薄い中小型株では、少ない資金でも株価が動きやすく、ダマシが発生しやすい傾向があります
- 決算発表をまたぐタイミングのブレイクは、内容次第で急反落するリスクを伴います
- 米国の理論値(深さ・期間の目安)はあくまで目安として捉え、日本株の値動きに合わせて柔軟に判断することが大切です
カップウィズハンドル銘柄の見つけ方
「形はわかったが、どうやって探すのか」が次の課題です。
まず知っておきたいのは、証券会社のスクリーニングで「カップウィズハンドル」を直接指定できるツールはほとんどないという点です。SBI証券の「チャート形状銘柄検索」や松井証券の「チャートフォリオ」は、上昇基調やブレイクといった大まかな形状からは絞り込めますが、カップウィズハンドルのような細かいパターンをピンポイントで抽出することはできません。あくまで一次フィルタとして使い、最終的な形の判断は自分の目で行うことになります。
そこで実用的なのが、高値圏で調整している銘柄をまず一覧で絞り込み、その中から形を確認していくという手順です。当ブログの上場来高値DBでは、「ベース乖離率」(直近の保ち合い水準から株価がどれだけ離れているか)が小さい銘柄を絞り込めます。ベース乖離率が小さい=ハンドル部分で締まってブレイク間近、というカップウィズハンドルの候補を効率よく探せます。ATR・ボラ比率・出来高25日平均比なども同じ画面で確認できます。
【関連】上場来高値DBで銘柄を絞り込む
【関連】上場来高値スクリーニングの方法まとめ
候補を絞り込んだら、最後はチャートで形を確認します。カップウィズハンドルは日足だけでなく週足を組み合わせて見ると形が明確になります。複数の時間軸を1画面に並べられるTradingViewは、こうしたパターン判定に向いているツールのひとつです。
【関連】TradingView活用ガイド
他のチャートパターンとの違い
カップウィズハンドルは数あるベース(保ち合い)パターンのひとつです。新高値投資でよく出てくる他のパターンとあわせて覚えておくと、形の判断に幅が出ます。
- フラットベース:横ばいの値動きが続くシンプルなパターン。調整が浅く(5〜15%程度)、強い相場でよく見られます
- ダブルボトム(W字型):下落→反発→再下落→反発のW字。底入れ局面で出やすいパターンです
- VCP(ボラティリティ収縮パターン):マーク・ミネルヴィニが提唱した、調整幅が段階的に縮小していく形
それぞれのパターンの詳しい解説や、ブレイクアウトとの関係は以下の記事で整理しています。
【関連】株のベース(保ち合い)とブレイクアウトの基本
【関連】CAN-SLIMとは?新高値投資との関係
よくある質問(FAQ)
Q. カップウィズハンドルの成功率はどれくらい?
A. 明確な勝率があるわけではありません。チャートパターンは「上昇しやすい状況」を示すものであり、必ず上がる保証はありません。出来高・地合い・損切りルールと組み合わせて、期待値で考えることが大切です。
Q. ハンドル(取っ手)は必ず必要?
A. ハンドルのない「カップのみ」のパターンも存在します。ただしハンドルがある方が、直前のふるい落としが確認できる分、ブレイクの信頼性が高まるとされます。
Q. 日足と週足のどちらで見るべき?
A. 両方を組み合わせるのが基本です。週足で大きな形(カップ)を把握し、日足でハンドルやブレイクの瞬間を確認すると、形を見誤りにくくなります。
Q. 初心者でも見つけられる?
A. 最初は「丸いカップ」「上半分の浅いハンドル」「出来高の収縮」の3点に絞って探すと判断しやすくなります。慣れるまでは、高値圏の銘柄リストから候補を絞り、チャートを数多く見ることが上達の近道です。
まとめ
- カップウィズハンドルは、U字のカップ+小さなハンドル+ピボットポイントからなる継続のチャートパターン
- 良い形の条件は「丸いカップ」「上半分の浅いハンドル」「ハンドルでの出来高収縮」「直前の上昇トレンド」
- エントリーはピボットを出来高2倍で上抜けたとき、損切りはATR×2、利確はトレイリングで利を伸ばす
- 形そのものより出来高の推移が成否を分ける
- 直接抽出できるツールは少ないため、高値圏の銘柄を絞り込んでからチャートで形を確認する手順が現実的
カップウィズハンドルを見つける目を養うには、実際の銘柄リストとチャートを数多く見ることが一番の近道です。当ブログの上場来高値リストや、証券会社・ツールの選び方もあわせて活用してください。
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本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。


