本日の相場概況
前週末の米国市場は3指数がそろって下げました。NYダウは-0.02%の53,559.99ドル、S&P500は-0.25%の7,711.76、NASDAQ100は-0.70%の29,433.43です。日本時間28日の夜、ジャクソンホール会議で登壇したFRB議長が、足元のインフレ指標は必ずしも勇気づけられるものではなく、物価が目標へ向けて十分な速さで改善すると確信する必要があると述べ、利上げに含みを持たせています。これをタカ派と受け止めた米国市場では半導体と同製造装置が売られ、指数の小幅安の裏で買われる層が入れ替わりました。
日経平均は前週末終値より737円安い65,668円で始まり、午前のうちに64,832円まで下押ししています。前週末終値からの下げ幅は1,573円。AI・半導体関連への売りが指数を押し下げました。ところが戻りが速く、後場にかけて買い戻しが広がると下げ幅をほぼ消し、終値は93円安の66,311円、-0.14%と高値引けで終えています。日中の値幅は1,479円に達しました。TOPIXは9.58ポイント高の4,156.29で+0.23%とプラスを確保しています。対照的だったのがグロース250で、寄り付きの819.46がそのまま高値、終値は11.12ポイント安の812.04、-1.35%と3指数で唯一マイナスに沈みました。東証プライムの売買代金は9兆3,583億円と、前週末の8兆1,223億円から1兆2,000億円あまり増えています。指数が大きく下押しした場面で商いが膨らんだわけで、売り一色で様子見に傾いた一日ではありません。
上場来高値を更新したのは71銘柄です。前週末の57銘柄からさらに14銘柄増えました。最多は卸売業の14銘柄で、トーメンデバイス、稲畑産業、三谷商事、サンワテクノス、日本電計、因幡電機産業と、電子部品や機械を扱う商社が並びます。次いで銀行業が13銘柄。しずおかフィナンシャルグループ、ひろぎんホールディングス、群馬銀行、七十七銀行、百五銀行、大分銀行、宮崎銀行と、地方銀行が前週末からさらに顔ぶれを広げました。この2業種だけで27銘柄と、全体の4割近くを占めます。以下、小売業9銘柄、情報・通信業7銘柄、サービス業6銘柄と続きました。時価総額1兆円を超えたのは6社で、リクルートホールディングスの25.27兆円、バンダイナムコホールディングスの3.67兆円に加え、しずおかフィナンシャルグループ、めぶきフィナンシャルグループ、ブラザー工業、群馬銀行が名を連ねています。
上昇率の首位はティアフォーの+20.01%、次いで日本タングステンの+14.95%、トーメンデバイスの+7.98%でした。一方で71銘柄のうち10銘柄が前日比マイナスで引けています。Terra Droneの-17.81%を筆頭に、オンコリスバイオファーマやGOといった新興グロースが並び、ザラ場で高値をつけながら引けまで持ち帰れなかった顔ぶれが目立ちます。前週末は地方銀行と値動きの軽い新興株が同時に買われましたが、本日はそのうち金融と内需だけが残りました。米国の利上げ観測が半導体とグロース株を削り、その資金が銀行と商社へ回った一日です。
気になる上場来高値更新銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
YE DIGITAL(2354)
7月21日にこの銘柄を取り上げたとき、25日線がまだ75日線を下回る混在状態で、急騰に長期のトレンドが追い付いていないと書きました。その一点が本日は解消しています。移動平均線は5日線から200日線まで上から順に並ぶパーフェクトオーダーになり、当時の宿題としていた土台のほうが先に整いました。値動きのほうは荒れています。前週末終値1,499円に対して1,674円で寄り付くと、最初の30分のうちに1,758円まで駆け上がって上場来高値を更新し、同じ30分の間に1,618円まで振り落とされました。午後には1,475円と前週末終値を下回る水準まで売られています。それでも終値は1,529円、+2.00%と前週末は上回って引けました。始値を145円下回る陰線ですが、ボリンジャーバンドで見れば+2σの上に踏みとどまっています。出来高は25日平均の1.61倍。7月16日のエヌビディアとのフィジカルAI分野での協業を機に水準を切り上げてきた銘柄です。本日は新規材料が無いなかで寄り付きに売買が集中し、そのまま値幅だけが大きく出た一日でした。
ここに注目!: 帯の動き方から確認します。ボリンジャーバンドの中心線は5日前比で+1%台の切り上がりにとどまり、±1σ幅は5日前の0.8倍と締まってきました。7月のように帯ごと大きく持ち上がる段階は過ぎ、水準を保ったまま値幅が収まりつつある形です。25日線乖離率も+13%台まで下がり、7月に+50%を超えていたころの過熱はすっかり抜けました。RSI14は64前後と、上下どちらにも余地のある水準です。その静かになりかけた帯から、本日は一気に外へ飛び出して、また戻ってきました。高値と安値の差は283円、終値に対して18%を超えています。上ヒゲは84円、実体は145円ですから、形としては高値から売られた陰線です。平均値幅率は8%台に達しており、1日で株価の1割近く動くのが普通という前提で見ておく必要があります。信用買残は出来高25日平均の0.8日分と軽い水準にとどまっています。
上へ向かう力という点で本日残ったものは2つあります。帯の位置が切り上がりを続けていることと、あれだけ振られながら終値で+2σを保ったことです。そのうえパーフェクトオーダーと雲の上での推移という土台は、7月にはなかったものでした。継続の目安は、+2σが通る1,520円付近を終値で維持できるかどうかに置けます。ここを保っているあいだは、本日の下押しは高値更新後の振れの範囲です。一方、5日線と+1σが重なる1,430〜1,460円のゾーンを終値で割り込むと、+2σの外を歩いてきた形は崩れます。その下、25日線の1,340円付近まで戻す展開は、7月半ばからの上昇そのものの仕切り直しにあたります。値幅の荒い銘柄だけに、どちらの水準にも一日で届きうる点は頭に入れておきたいところです。
GO(581A)
帯の幅を広げずに帯ごと上へ移動する。8月25日にこの銘柄を見たときの姿はそれでした。その帯が本日は広がっています。値動きの中心が上がるだけの段階から、値幅を伴って上がる段階へ変わりました。8月27日から3営業日続けて上場来高値を更新しており、本日は4,580円まで買われています。ただし高値をつけたのは寄り付きから30分のうちで、同じ30分の間に4,310円まで振れました。後場は4,500円前後まで持ち直したものの、14時台から再び売られ、終値は4,335円、-2.47%です。上ヒゲ130円に対して実体は115円、値幅全体の5割近くを上ヒゲが占める長い上ヒゲとなり、高値から押し戻された形がはっきり出ました。出来高は25日平均の1.96倍です。
ここに注目!: この銘柄は6月16日に上場したばかりで、取得できる日足は53営業日分しかありません。75日線も200日線も、一目均衡表の雲もまだ形になっておらず、株価の位置を測れるのは5日線と25日線、それに上場来の高安だけです。上値のどこに戻り売りが控えているかを過去の価格帯から読むこともできません。上場来高値を3営業日続けて更新した事実は事実として、それを長期のトレンドとして評価する材料は手元にない、という前提で見ることになります。そのうえで本日いちばん変わったのは、ボリンジャーバンドの形です。8月25日の時点で5日前とほとんど変わらなかった±1σ幅が、5日前の1.4倍まで広がりました。帯の位置も+7%台の切り上がりを続けています。ただし帯が広がるということは、上下どちらへの振れ幅も大きくなるということです。本日の高値と安値の差は270円、平均値幅率も5%台にあり、1日で200円台の値幅が出るのが普通の銘柄になっています。信用買残は出来高25日平均の1.2日分で、極端に重い水準ではありませんが、上場から2か月半で積み上がった買残であることは意識しておきたい点です。
株価は+1σと+2σのあいだにあり、帯のなかでの位置は8月25日と変わっていません。ザラ場では+2σの4,380円付近を大きく上回ったものの、終値の4,335円はその下に戻りました。上値を買った参加者が報われなかった日で、上場来高値の更新そのものは残る一方、上放れを終値で確定するのは先送りになった形です。勢いが続いているかどうかは、+2σが通る4,380円付近を終値で回復できるか、さらに本日の高値4,580円を終値で上抜けられるかで確かめられます。反対に、5日線の4,130円付近を終値で割り込むようだと、8月27日から続いた3営業日の上げはいったん仕切り直しとなります。
日本タングステン(6998)
前場のこの銘柄は、商いが細っていました。3,170円で寄り付いた直後に3,245円をつけたあとは3,105円まで押し、前引けまでの2時間半、30分ごとの出来高は数千株にとどまっています。様子が変わったのは昼休みを挟んでからでした。12時30分からの30分で2万5,900株、続く13時からの30分では7万7,100株と商いが跳ね、株価は3,270円から3,535円まで一気に駆け上がっています。14時30分には3,620円をつけ、8月18日以来9営業日ぶりの上場来高値更新となりました。終値は465円高の3,575円、+14.95%です。後場だけで前場の8倍近い株数が出来ています。材料の面では、8月上旬に上期の業績予想と中間配当予想の大幅な上方修正を発表しており、4期ぶりの最高益見通しを示しています。
ここに注目!: この銘柄を上場来高値更新間近として取り上げたのは6月18日でした。当時は25日線がなお75日線を下回る混在状態で、足元の急騰がごく最近始まったばかりだと書いています。そこから2か月半、移動平均線は5日線から200日線まで上から順に並び、一目均衡表の三役好転も成立しています。当時「長期トレンドとしてはまだ確認しきれていない」とした部分は、この間に埋まりました。勢いを測る数字で目を引くのは帯の位置です。ボリンジャーバンドの中心線は5日前比で+10%台の切り上がりで、株価が跳ねただけでなく価格帯そのものがひと回り上がりました。±1σ幅は5日前とほぼ同じですから、値幅を広げずに帯ごと持ち上がっている形です。移動平均線の並びと三役好転がそろっている銘柄でのこの収まり方は、方向感を失ったコイルではなく上昇途中の小休止と読めます。需給も軽く、貸借倍率は1倍台とほぼ均衡し、信用買残は出来高25日平均の1日分にとどまっています。
過熱の数字は出ています。25日線乖離率は+28%台、RSI14は71前後です。ただし株価はボリンジャーバンドの+1σと+2σのあいだにあり、+2σの4,050円付近にはまだ距離があります。帯の外へ飛び出したうえでの過熱ではありません。崩れの兆候という点でも、8月20日の2,991円を安値に、その後の安値は3,000円台を保っています。帯の位置も切り下がっておらず、警戒すべき材料は今のところ数字の水準だけです。その勢いが続くかどうかの目安は、+1σが通る3,420円付近を終値で維持できるかどうかに置けます。ここを保っているあいだは、パーフェクトオーダーと三役好転の土台も崩れません。5日線の3,240円付近を終値で割り込むようだと、本日の急伸は一日で終わった動きということになります。さらに下、25日線の2,780円付近まで戻す展開は押し目ではなく、上昇トレンドそのものの見直しを迫られる水準です。平均値幅率は6%台、時価総額は170億円台の小型株で、本日の後場のように板の薄さが値動きを一方向へ増幅させる場面は今後も起こりえます。
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気になる上場来高値間近銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
ニフコ(7988)
取引開始の時点で、自己株式の取得を決定したことが開示されていました。これを手掛かりに寄り付き直後から買いが集まり、5,040円で始まった株価は最初の30分で5,257円まで駆け上がっています。その後も5,130円台までの押しにとどめ、じりじりと水準を切り上げて14時台に5,344円の高値をつけました。終値は5,300円、+4.68%。出来高は25日平均の2.07倍です。自動車向けの樹脂ファスナーで世界大手の会社で、株数が減る方向の開示が出たこと自体は事実として押さえておきたい材料です。ただしそれが上値をどこまで押し上げるかは値動きが決めることで、本日の注目点は、この開示をきっかけに商いが2倍を超えて膨らんだことと、ここ2週間ほど抜けられなかった5,100円台の上限を上へ抜けたことのほうです。上場来高値5,562円までは、終値ベースで4%台を残しています。
ここに注目!: 本日の見どころは、上昇率よりも抜けた水準にあります。8月18日から前週末28日までの9営業日、この銘柄の高値は5,015円から5,108円のあいだに収まっていました。ボリンジャーバンドの±1σ幅は5日前の1.1倍でほぼ横ばい、中心線に至っては5日前から動いていません。25日線も5,100円付近で水平です。これは典型的なレンジで、本来なら上下どちらへ振れても中心線へ引き戻されやすい状態でした。本日はそのレンジの上限を、25日平均の2倍を超える出来高を伴って明確に上抜けています。上放れの確認条件としては、必要なものがそろいました。ただし上昇の土台のほうは、まだ整いきっていません。移動平均線の並びは混在で、5日線・25日線は75日線・200日線の上にあるものの、その75日線と200日線が4,800円付近でほぼ重なったままです。長期の2本が上下に開いてこないかぎり、並びとしてはパーフェクトオーダーに一歩届きません。一目均衡表も雲の上ではありますが三役好転には至らず、転換線が基準線を下回った状態が続いています。平均値幅率は1%台と値動きの穏やかな銘柄で、本日の5%近い上昇はこの銘柄にとって普段の値幅の3倍近くにあたります。信用買残は出来高25日平均の0.2日分しかなく、上値で戻りを待つ売りはほとんど積み上がっていません。貸借倍率は3倍台で、売残も一定量あります。
上へ向かう力そのものは、本日始まったばかりと見るのが正確です。価格はレンジを抜けましたが、帯の位置はまだ動いておらず、中心線が切り上がりに転じるかどうかはこれから確かめる段階にあります。継続の目安になるのは、+2σが通る5,330円付近と本日の高値5,344円を終値で上抜けられるかどうかで、ここを終値で超えてくればレンジ上放れは裏付けを得ます。逆に、+1σと25日線が集まる5,100〜5,210円のゾーンまで終値で戻るようなら、8月後半の膠着へ出戻った形です。
日本瓦斯(8174)
前週末28日の取引終了後に、株式分割と配当予想の修正が同時に開示されました。1株を3株に分ける分割で、配当は実質的な増額となります。市場がこれを取引材料にできる最初の場が、週末を挟んだ本日でした。株価は3,027円で寄り付き、前週末の高値3,002円との間に窓を空けています。もっとも、そこからの動きは静かでした。午前中は3,022円から3,049円という30円ほどの幅で膠着し、水準が動いたのは14時に入ってからです。そこから上値を追って3,068円の高値をつけ、終値は3,053円、+1.90%となりました。出来高は25日平均の1.69倍です。上場来高値3,167円までは3%台まで迫ってきました。株式分割そのものは、株数が増えても1株あたりの価値が変わるわけではなく、投資単位が下がって買いやすくなるという性質の材料です。同時に開示された配当の実質増額とあわせて好感されたと思われます。
ここに注目!: 先に押さえておきたいのは、上場来高値へ迫る一方で長期の土台がまだ整っていないことです。移動平均線の並びは混在で、その中身は25日線が200日線をわずかに下回っているというものです。直近25日の平均値が、200日の平均値をまだ12円ほど下回っています。3月2日の高値から本日までのあいだに、それだけの調整があったということです。あと一段の上昇で入れ替わる位置にはありますが、現時点では長期の線が上にあります。
整っているものもあります。一目均衡表は三役好転が成立し、株価は雲の上にあります。ボリンジャーバンドの±1σ幅は5日前より広がり、帯の位置もわずかに切り上がりました。株価は+1σと+2σのあいだにあり、本日の高値3,068円は+2σの3,060円付近をわずかに上回っています。RSI14は73前後と70を超えていますが、平均値幅率が1%台という値動きの穏やかな銘柄で、帯の外へ大きく飛び出したわけでもありません。数字だけを取り出して過熱と決めつける段階ではないでしょう。需給も軽く、貸借倍率は1倍台とほぼ均衡し、信用買残は出来高25日平均の1日分にも満たない水準にとどまっています。上値で戻りを待つ売りが積み上がっていないことは、上場来高値へ近づく場面では働きやすい要素です。
勢いという点では、窓を空けて始まりながら午前中はほとんど動かず、大引けにかけて買われて高値圏で引けた形でした。1日の値幅は47円と、この銘柄の平均値幅とほぼ同じです。開示を受けた反応としては派手さがなく、勢いよりも、切り上げた水準を一度も戻さなかったことのほうに意味があります。継続の目安は、+2σが通る3,060円付近を終値で保てるかどうかです。本日は終値でわずかに届かず、ここを終値で上回れば上場来高値までの距離は一段と縮まります。逆に、5日線が通る3,000円付近を終値で割り込むと、開示を受けた上昇はいったん帳消しです。さらに下、2,900円付近の25日線まで戻す展開は、3月2日の高値へ向けた戻りの流れそのものを見直す水準になります。
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