本日の相場概況
本日の上場来高値更新銘柄数は44銘柄でした。
昨日の大きな反発から一転、本日の東京市場は再び売り優勢に傾きました。日経平均は前日比1,237円安の64,179円と大幅下落し、2日ぶりに下げに転じています。前日の米国市場はNYダウが-0.61%、S&P500が-0.36%、ハイテク色の強いNASDAQ100が-0.53%とそろって小幅安となっており、朝から売り優勢の展開を後押しする格好でした。
下落の中身を見ると、指数の弱さは全体にわたっています。TOPIXが前日比-1.25%の3,847.60と下落したほか、新興・中小型のグロース250も-2.45%の722.49と相対的に大きく売られました。東証プライムの騰落は値上がり835に対して値下がり694と、下げ幅ほど悲観的な状況ではありませんが、中小型・グロース株が全般に弱かった実態が浮かびます。売買代金は東証プライムで11兆3,336億円と前日の高水準をほぼ維持しており、売りの勢いは一方的ではなく、一定の押し目買いも交錯した様子がうかがえます。
ただ本日の際立った特徴は、金融・保険株への資金集中が引き続き鮮明だったことです。本日上場来高値を更新した44銘柄の内訳を見ると、銀行・保険セクターだけで過半を占めました。群馬銀行・山梨中央銀行・南都銀行・大分銀行・山陰合同銀行・十六フィナンシャルグループなど地方銀行が軒並みそろい、T&Dホールディングスも含めた保険3社を加えると、20銘柄超が金融関連です。6月15〜16日に予定されている日銀の金融政策決定会合で、政策金利を現行の0.75%程度から1.0%程度へ引き上げるとの観測が市場に広く浸透しており、利ざや改善への期待が地方銀行・保険株を高値へ駆り立てている構図が、前日から変わらず続いています。
物色の二極化はより鮮明になってきました。大型ハイテク・半導体が売られる裏側で、日銀利上げ観測の恩恵を受ける金融・バリューに資金が流入し、その外縁として食品スーパーのライフコーポレーションや建機レンタルのカナモトなどディフェンシブ内需株も上場来高値を更新しています。東京エレクトロンやSCREENホールディングスが上場来高値を更新しているなど、一部の半導体製造装置には依然として資金が入っている点は見落とせませんが、相場全体の重心は金融・バリュー・ディフェンシブへと傾いた一日だったとみてとれます。
気になる上場来高値更新銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
セルシス(3663)
6月5日に中間配当の増額修正を発表した際に注目が集まったセルシスが、本日も勢いを持続させました。グラフィック創作ツール「CLIP STUDIO PAINT」のグローバル展開で収益を拡大させているセルシスは、上場来高値の1,975円まで高値を伸ばし、終値1,941円と上場来高値圏で引けています。前場に1,975円まで上昇した後、後場は高値圏でのもみ合いに移行しており、底堅さが確認できます。6月末を権利確定日とする中間配当は1株40円(修正後)で利回りも意識されており、権利付き最終日まで買い意欲が持続しやすいという需給の後押しもあるようです。
ココに注目!:一目均衡表は三役好転が成立しており、雲の上での高値更新は構造的な強さを示しています。ボリンジャーバンドは現値が+2σを大きく超えた過熱圏にあり、バンド幅も1.3倍超に拡張しています。RSI14は70台後半と短期的な過熱感は否定できません。25日線乖離率も+23%超と高く、一直線に上昇が続くというより、調整をはさみながらの局面移行が自然な流れです。5日線付近(1,770円付近)まで乖離が縮む場面が、短期の押し目として意識されやすいでしょう。一方、移動平均線の並びは「混在」で、200日線が25日線とほぼ一致しています。長期トレンドの本格成立を確認するなら、25日線が200日線を明確に上抜いてくる展開を待ちたいところです。直近のローソク足が上場来高値を一時更新した後も崩れていない点は心強いですが、高値圏でのもみ合いが続く場合は慎重姿勢も必要です。下押す場合は+1σの水準であり、一段の上昇の起点となった1,700円付近が当面はサポートとして意識されます。
ツガミ(6101)
出来高25日平均比1.94倍という商いを伴い、6月1日につけた前の高値7,000円を一気に突き破り、本日ザラ場で7,160円という上場来高値を更新しました。自動旋盤・研削盤を主力とする精密工作機械メーカーで、中国・インド向け需要を取り込み2026年3月期は過去最高業績を達成しています。本日は寄り付きから上昇し前場に7,050円を付けた後、後場に入りさらに7,160円まで水準を切り上げましたが、その後は利益確定売りが相応に出たためか押し戻され、終値は6,710円で引けました。5月の工作機械の受注が好調に推移していることが材料視されたようで、業績の好調さも相まって株価上昇の土台を作ってきました。
ココに注目!:移動平均線はパーフェクトオーダーが成立しており、5日線・25日線・75日線・200日線がすべて上向きで並んでいます。ただし75日線乖離率は+45%超、200日線乖離率に至っては+95%超という大幅乖離で、長期線からの距離は相当に開いています。一目均衡表の雲との乖離も大きく、現在の上昇がいかに急ピッチで来たかが分かります。平均値幅率は7%超と高く、日々の値幅が大きい環境が続く可能性があります。ボリンジャーバンドは収縮してきており、そこから上に抜けたことはモメンタムの強さを示します。このまま再度上場来高値を抜ける展開も考えられますがまずは高値圏でパワーをためるタイミングかもしれません。軽い押し目としては、+1σと5日線(6,400円台後半)が意識されるでしょう。一方で、上場来高値更新後に終値が高値から大きく押し戻されている本日の足の形状は、短期的には上ヒゲを警戒したい場面でもあります。4月中ごろ以降はほぼタッチしておらず強いサポートとなっている25日線が明確に割れることがあれば特に注意が必要です。
T&Dホールディングス(8795)
日銀利上げ観測と自社株買いという二重の追い風を受け、上場来高値を更新しました。前日の終値4,658円から続伸し、前場に4,981円まで高値を伸ばして上場来高値を更新しています。2006年4月以来の20年ぶりとなる高値更新でしたが、終値は4,686円と前場の上場来高値から300円近く引けにかけて押し戻される形となりました。6月4日に傘下のT&Dフィナンシャル生命保険の株式をPayPayとOneIM Indigoへ約1,600億円で譲渡すると発表すると同時に、発行済み株式数の2.5%に当たる1,200万株・300億円を上限とする自社株買いを6月8日から実施することも明らかにしました。資本効率の改善と株主還元の強化という分かりやすいシナリオが市場に支持されており、日銀利上げ観測による保険・金融株全体の上昇とタイミングが重なったことで、この1週間で大きく水準を切り上げてきました。
ココに注目!:移動平均線はパーフェクトオーダーが成立しており、中・長期のトレンドは良好です。ボリンジャーバンドは+2σを大きく超える過熱圏で、帯域は横ばいから緩やかな拡張に移行しています。RSI14は70台半ばと過熱圏に差し掛かっています。本日足の形状は長い上髭となっており、高値から300円近く下落して引けています。上場来高値更新の達成感と+3σを大きく上回る位置まで買われたことで、利益確定売りが出たものと思われます。短期的には更なる上昇よりも現在の高値圏を維持できるかが焦点となりそうです。6月9日にあけた窓は意識されそうですが、その窓埋めで踏みとどまることができれば25日線が追い付いてくるのを待って再度の上昇もありそうです。6月5日の窓埋めまで押した場合はそこがサポートとなるかの見極めはより重要となります。そこを明確に割れてくると再度のレンジ相場入りの覚悟が必要でしょう。
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気になる上場来高値間近銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
ライフコーポレーション(8194)
指数が1,200円超の大幅安を演じるなか、ライフコーポレーションは地合いに逆らって前日比+2.60%と上昇しました。食品スーパー「ライフ」を近畿・首都圏で展開する内需ディフェンシブの代表格で、市場の重心がリスク回避へ傾いた本日、相対的な強さが際立ちました。前場に2,763円まで水準を伸ばし、上場来高値2,806円まで3%弱に迫っています。終値は2,727円と高値から少し押しての引けとなりましたが、地合いの悪さを考えると実質的な強さと言えます。2026年2月期の通期決算では増収増益を達成しており、業績の安定成長と防衛的な事業特性が、荒れた地合いでの買い選好を支えているとみられます。
ココに注目!:一目均衡表は三役好転が成立し、雲の上での推移と合わせて中期トレンドは良好です。直近では25日線・75日線の並びが混在であるものの、25日線の上向きの傾きは維持されています。RSI14は70をわずかに上回る水準で、短期的にはやや過熱感が出てきています。上場来高値2,806円を終値ベースで明確に超えてくるには、25日線が長期線を上抜くのを待ち、RSIの過熱感が和らぐ程度の小幅な調整を経た後の方が、より安定的なブレイクとなる可能性があります。75日線割れを伴うような調整となれば、上昇の勢いは一旦衰えたとみるべきでしょう。
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