本日の相場概況
本日の上場来高値更新銘柄数は78銘柄でした。
連日の最高値追いに、本日はついに息切れの兆しがにじみました。といっても日経平均は前日比196円高の71,250円と小幅ながら7営業日続伸。ザラ場では71,952円まで買われ、72,000円の大台に迫る場面もありましたが、そこから約700円を吐き出して引けています。問題は市場全体の中身です。TOPIXは前日比23.22ポイント安の4,044.96と反落し、グロース250に至っては前日比20.73ポイント安の695.08と-2.90%の大幅安。再び700の節目を割り込みました。東証プライムの騰落も値上がり648に対して値下がり873と、全体の56%が下落しており、指数の小幅高と中身の弱さがこれまで以上に乖離した一日です。
相場を一手に支えたのが、時価総額59兆円規模となったキオクシアでした。NAND型フラッシュメモリの需給逼迫とAIメモリ需要を背景に+12%超と急騰し、値嵩のメモリ・半導体の一角とともに指数を押し上げました。前日の米国市場はNYダウが+0.14%とほぼ横ばいだった一方、S&P500が+1.08%、NASDAQ100は+2.48%と、強さがハイテクに集中する展開でした。東京市場もこの「ハイテクだけ強い」流れをそのままなぞり、買いはメモリ関連に一極集中した格好です。
ただ、その物色は半導体テーマの内部でも選別を強めています。本日上場来高値を更新した78銘柄を見ると、KOKUSAI ELECTRICやパナソニックホールディングス、住友ベークライトなどメモリ・素材の一角が買われた一方で、レーザーテック・東京エレクトロン・荏原製作所・ディスコといった製造装置の主力はそろって前日比マイナスで引け、ニッカトーや北川精機は高値更新後に-13%超、-15%超と急反落しました。資金は装置全般からメモリそのものへと一段と絞り込まれた印象です。一方で、データセンターの裾野に連なる動きも広がりました。軸受けの大同メタル工業や特殊鋼の大同特殊鋼、設備工事の中電工・三機工業・大氣社が顔を出し、「隠れ半導体」とも言える周辺の景気敏感株にも物色がにじんでいます。
売買代金は東証プライムで約14.1兆円と一段と膨らみましたが、値下がり優勢かつグロース株の大幅安を伴ったことを思えば、新規の買いというより、中小型株を手放してメモリへ乗り換える資金の入れ替えが活発に進んだと見るのが実態に近そうです。リスクオンの全面高ではなく、キオクシアを軸とした指数主導の極端な選別——それが本日の地合いの正体でした。
気になる上場来高値更新銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
大同メタル工業(7245)
エンジン内で回転軸を支える軸受け(メタル)を主力とする部品メーカーですが、データセンター向けの中高速エンジンに使われるという「隠れ半導体」としての評価が広がり、ここ2カ月弱で水準を大きく切り上げてきました。本日も買いが先行してザラ場で1,546円まで上値を伸ばし、上場来高値を更新。もっとも高値を付けたあとはいったん1,391円まで急速に値を消し、引けにかけて再び戻すという荒い値動きで、終値は+4.93%の1,491円。上下に長めのヒゲを残した、値幅の大きな一日でした。
ココに注目!:まず目を引くのはRSI14が82前後、25日線乖離率も+30%超という過熱を示す数字です。移動平均線はパーフェクトオーダー、一目均衡表も三役好転とトレンドの方向は申し分ありませんが、平均値幅率が5%を超えており、日々の値幅が荒く、板の薄さによる急変には警戒が要ります。ボリンジャーバンドは+2σと+3σの間で帯域も拡張中と、勢いと過熱が同居した状態です。現実的に押し目を考えるなら、まずは5日線や直近の戻り高値どころまで過熱が和らぐのを待ちたいところ。25日線は現値から20%以上も下に離れており、そこまで下げる場合は上昇の勢いそのものを見直す下値メドと捉えるのが妥当でしょう。
黒田グループ(287A)
ボリンジャーバンドが収縮し、ここ数日は1,000円台前半での小動きが続いていました。その膠着を破る形で本日は大きく窓を開けて寄り付き、ザラ場で1,177円まで買われて上場来高値を更新しています。ただ高い水準は続かず、寄り付き後はじりじりと値を消して終値は1,106円。+1.28%は確保したものの、日中の高値からは大きく押し戻された大陰線で、上放れを終値で固め切れていません。本日は特段の新規材料は見当たりませんが、某インフルエンサーが取り上げたことが急騰の要因となったようです。
ココに注目!:焦点はボリンジャーバンドの収縮(スクイーズ)です。±1σ幅は5日前より縮小しており、方向感が乏しいなかでの一時的な突出だった可能性があります。この状態では、強い新規材料を伴わない限り、上下に振れても中心線である25日線へ引き戻されやすいのが一般的です。RSI14は67前後と過熱圏の一歩手前、25日線乖離率も+6%台と高ぶってはいません。信用買い残は出来高2日分強と取り立てて重くはなく、需給面の重しは限定的です。上昇トレンドへの本格移行を語るには、本日のザラ場高値1,177円を終値で明確に上抜け、できれば出来高増を伴うことを確認したいところ。逆にこのまま失速すれば、25日線や直近のもみ合い水準まで戻りを試す展開も想定しておきたいです。
高圧ガス工業(4097)
3月下旬にヘリウム関連の思惑で一度は上場来高値を更新したものの、追随買いが続かずに元のレンジへ押し戻された、いわゆる「騙し」となった銘柄です。その後の調整を経て、本日あらためて1,202円まで買われ、約3カ月ぶりに上場来高値を塗り替えました。しかし展開は前回とよく似ています。高値は前場まで、午後は売りに押されて終値は1,137円。+0.35%とかろうじてプラスは確保したものの、上場来高値を付けた直後に押し戻される陰線となり、上放れを終値で固め切れませんでした。
ココに注目!: 注目したいのは移動平均線の並びです。いまだ25日線が75日線を下回ったままで、4月に警戒されたデッドクロスを経て、トレンドの修復が終わっていないことを示しています。ボリンジャーバンドの帯域も横ばいで、25日線がほぼ寝ていることと合わせれば、これはレンジ相場と見るのが妥当でしょう。一方、信用は売り残が買い残を大きく上回る売り長で、貸借倍率は1倍を大きく割り込んでいます。本日のように高値を取りにいく動きが続けば、踏み上げが上昇の燃料になる余地は残ります。ただ本格的な上放れと判断するには、本日のザラ場高値である上場来高値1,202円を、出来高を伴って終値で抜けることが条件です。本日はその過程で1,100円どころ——ちょうど25日線・75日線が重なる水準——まで売られたのち下げ止まっており、この1,100円前後を維持できるかどうかが、当面の支持の試金石になります。
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気になる上場来高値間近銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
きんでん(1944)
電気設備工事の国内最大手で、足元はデータセンター向けの設備工事需要が成長期待を後押ししています。三菱電機系の弘電社を公開買付けで取得して施工体制を強化する動きも、この流れに沿ったものです。本日も買いが優勢で+3.87%と続伸し、ザラ場では8,317円まで上値を伸ばしました。上場来高値8,580円まではあと3%台に迫り、青空圏まであと一歩のところまで来ています。
ココに注目!:チャートはこの数日で2本の上昇窓を開けており、なかでも17日に開けた窓は上限が雲の上限とも重なっており、当面の支持帯として意識されやすい水準です。RSI14は68前後で過熱の一歩手前、25日線乖離率は+17%台とやや伸びてきましたが、ボリンジャーバンドの帯域は横ばいで突出した過熱感はまだ見られません。信用買い残は出来高1日分にも満たない軽さで、需給面の重しは小さい状態です。気がかりは移動平均線の並びで、25日線がなお75日線を下回ったまま——直近の急騰の若さを映しています。ここで25日線が75日線を明確に上抜けてくれば、より腰の据わった上昇トレンドへの移行が期待できます。押し目を考えるなら17日の窓の上限や5日線のある7,650円付近がまず意識され、ここを終値で大きく割り込むようだと、いったん仕切り直しと見ておきたいところです。
豊田合成(7282)
トヨタ系でエアバッグや内外装樹脂を主力とする部品メーカーです。ここ数日は上場来高値5,230円を射程に入れる水準まで切り上げてきましたが、本日は5,135円まで買われたあと伸び切れず、-0.73%と小幅に値を消す陰線で引けました。上場来高値まではあと4%程度に迫りつつ、高値圏でのもみ合いに入った印象です。本日は目立った新規材料は見当たらず、強い地合いのなかでひと息ついた一日でしょう。
ココに注目!: まず押さえたいのは、移動平均線がパーフェクトオーダーの強気配列である一方、一目均衡表の三役好転はまだ成立していない点です。トレンドの裏付けという意味では、もう一段の確認が欲しい状態と言えます。加えてボリンジャーバンドの±1σ幅が5日前の1.7倍へ急拡大しており、ボラティリティの高まりは上下双方向の振れ幅拡大につながりやすい点に留意する必要があるでしょう。RSI14は63前後、25日線乖離率も+6%台と過熱感そのものは限定的で、上値余地は残されています。本日はザラ場で5,000円の節目(安値4,993円)まで下げて下げ渋っており、まずはこの水準を維持できるかどうか。その下では5日線が次の支えとして意識されます。三役好転の成立と、上場来高値5,230円を終値で捉えられるかが、当面の試金石になります。
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