本日の相場概況
本日の上場来高値更新銘柄数は33銘柄でした。
7月最終営業日は、崩れ続けた一カ月分を一日で取り返しにいくような相場でした。日経平均は前日比2,494円高の64,362円と大幅に続伸し、ザラ場では65,364.73円まで買われて上げ幅が一時3,400円を超えています。引き金は前日の米国市場です。NYダウは+1.19%の52,208.06ドル、S&P500は+1.66%、そしてNASDAQ100は+3.36%と、ハイテク主導で大きく戻しました。マイクロソフトの4〜6月期決算が市場予想を上回り、AIへの過剰投資懸念が後退したことが背景で、フィラデルフィア半導体株指数は8%高。その熱がそのまま東京へ持ち込まれ、前場はアドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄だけで日経平均を1,700円ほど押し上げています。
もっとも、日本市場には独自の重しもありました。前日深夜のニューヨーク市場で政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入に動き、ドル円は一時157円80銭まで急伸。米通貨当局もレートチェックを実施しており、この円高が自動車をはじめ輸出関連の上値を抑えました。昼休みには日銀が政策金利1.0%の据え置きを決定。予想通りの結果でしたが、据え置きを織り込んで買っていた海外短期筋の利益確定売りが先物に出て、後場は上げ幅を縮める展開となりました。
中身は指数の見出しとは大きく違います。TOPIXこそ50.80ポイント高の4,003.30と4営業日ぶりに4,000ポイント台を回復し、グロース250も19.00ポイント高の685.97と続伸しましたが、東証プライムの値下がりは922銘柄で全体の59%を占め、値上がりは612銘柄にとどまりました。売買代金は10兆1,069億円と、前日の12兆6,645億円から2兆5,000億円ほど減りました。ただしこれを様子見の表れと読むのは早計です。本日はストップ高が33銘柄に達し、そのうちキオクシアホールディングス、村田製作所、太陽誘電、イビデン、パナソニックホールディングスは取引時間中に売買が成立せず、引けの比例配分でようやく値が付いています。キオクシアは94万株、村田製作所も95万株の買い注文を残したままでした。普段であれば東証プライムの売買代金上位を占める銘柄が、丸一日ほとんど商いを作れなかったわけです。代金の減少は資金が引いた結果というより、買いが一方通行になって値が付かなかったことによる面が大きいと見るのが自然でしょう。ストップ安はコニカミノルタの1銘柄だけでした。29日の指数安・中身高が、本日はそっくり裏返りました。AI・半導体という一点に資金が吸い寄せられ、それ以外の広い範囲からは資金が抜けています。
上場来高値を更新した33銘柄の顔ぶれは、指数を動かした層とはまったく別でした。最多は卸売業の9銘柄で、トーメンデバイス、RYODEN、立花エレテック、因幡電機産業と電子部品商社が並びます。半導体・メモリーの物色が商社まで裾野を広げた形です。機械、化学、情報・通信業がそれぞれ3銘柄で続き、リケンテクノス、日華化学、ヱスビー食品、積水樹脂、レイズネクストと、業績予想の上方修正や株主還元の強化を発表した銘柄が目立ちました。一方、29日に9銘柄を数えた食料品は日本たばこ産業とヱスビー食品の2銘柄、27日に40銘柄が名を連ねた銀行業は三十三フィナンシャルグループの1銘柄だけです。時価総額は12.67兆円の日本たばこ産業を除けば大和工業の8,066億円が最大で、110億円の共同ピーアールまで中小型が中心。指数を押し上げた大型のAI・半導体株は急落からの戻り途上にあって上場来高値には遠く、高値更新は決算を手掛かりにした別の層が担いました。
7月の日経平均は月間で8%を超える下落となり、4カ月ぶりのマイナスです。対してTOPIXは4カ月連続の上昇でした。指数と中身の食い違いは、一日単位だけでなく月間でも同じ構図で続いています。
気になる上場来高値更新銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
日本たばこ産業(2914)
前日の取引終了後に発表された中間決算と、それに伴う通期業績予想の上方修正、そして年間配当の増額。この三点セットが、寄り付きから素直に評価されました。前日終値から335円の窓を開けて7,000円で寄ると、そのまま前場に7,218円まで買われて上場来高値を更新。株式分割を考慮したベースで7,000円の大台に乗せたのは初めてです。フィリピンやロシアを中心とした値上げの浸透が業績を押し上げた格好で、後場は7,117円までしか戻せず高値からは値を消しましたが、それでも470円高で高値圏を保って引けました。出来高は25日平均の2.38倍。5月に取り上げた際は買残の積み上がりが将来の上値の重さになる可能性を指摘しましたが、その後も株価は水準を切り上げ続け、懸念は現時点まで顕在化していません。
ココに注目!:終値はボリンジャーバンドの+3σにあと一歩まで迫り、25日線乖離率は+13%超まで拡大しました。RSI14は78台と過熱圏に入っており、指標だけを見れば短期的な調整が入っても不思議のない水準です。ただし帯域は5日前の1.8倍へ拡張しながら中心線ごと切り上がっており、方向感は明確に上向きです。需給面では貸借倍率が6.86倍と高い一方、買残は出来高25日平均の0.3日分にすぎず、実質的な整理負担は軽いままです。ここは倍率の数字よりも回転の速さを見ておきたいところ。押し目を考えるなら、6,750〜6,820円の価格帯に5日線と本日の上げ窓の下限が重なっており、ここまで戻せば窓埋めが完了する下値メドになります。もう一段深くはボリンジャーバンドの+1σが6,580円前後。上昇シナリオそのものを見直すのは、25日線の6,300円近辺を終値で明確に割り込んだ場合です。
マックス(6454)
出来高25日平均比4倍という商いは、この銘柄としては異例の水準です。前日発表の第1四半期決算で通期の経常利益予想が引き上げられ、最高益予想が上乗せされたことを受け、61円の窓を開けて寄り付くと前場のうちに1,941円まで買い上げられ、5月1日以来3カ月ぶりに上場来高値を更新しました。ただし引けにかけての戻り売りが重く、終値は1,843円と高値から98円を吐き出しています。実体がわずか14円の小陽線に対して上ヒゲが98円という長い上ヒゲの形となっています。好材料に飛びついた買いを、上値で待っていた売りがしっかり吸収した一日でもありました。
ココに注目!: まず目を引くのは貸借倍率0.55倍という売り方優勢の需給です。買残は出来高25日平均の0.4日分と軽く、売残がその倍近く残っている状態ですから、本日の急騰には買い戻しの色も混じっていた可能性があります。テクニカル面では終値がボリンジャーバンドの+3σを上抜けました。もっとも帯域そのものは5日前と変わらない横ばいで、±1σ幅は終値比で3%程度しかありません。狭い帯を一気に飛び出した形なので、帯域が追いついてくるまでのあいだは価格側が引き戻される力も働きやすい状態です。25日線乖離率は+6%台、RSI14も66前後と過熱そのものは限定的で、この点はまだ余地を残しています。1,740〜1,790円の価格帯には5日線、ボリンジャーバンドの+2σ、本日の上げ窓の下限が密集しており、ここが最初の支持帯。そのすぐ下、1,700〜1,730円には25日線と75日線が重なっています。窓を埋めたうえでこの帯まで沈み込むようなら、本日の急騰は上ヒゲごと吸収されたと見るのが自然です。
豊田合成(7282)
6月19日に上場来高値更新間近として取り上げた際、一目均衡表の三役好転がまだ成立していない点を宿題として挙げていました。その宿題は、その後の上昇のなかで解消されています。当時5,230円だった上場来高値は7月6日に5,372円へと塗り替えられ、本日はそれを大きく突き放しました。もっとも前場は5,336円までの狭いもみ合いにとどまり、4%超の上昇を演じた指数からはむしろ取り残されていたほどです。動きが変わったのは13時25分、第1四半期決算が開示された直後でした。その直前には5,157円まで押す場面もありましたが、開示を境に一変して5,720円まで駆け上がり、309円高の5,562円と大陽線で引けています。この日は政府・日銀の為替介入観測を受けた円高でトヨタ自動車をはじめ輸出関連が売られており、自動車部品という括りでは逆風が吹くなかでの上昇でした。出来高は25日平均の3.44倍。地合いに乗ったのではなく、決算の中身が素直に評価された動きと見るのが自然です。
ココに注目!: 移動平均線はパーフェクトオーダー、一目均衡表も三役好転が成立し、終値はボリンジャーバンドの+3σを上抜けました。6月時点で欠けていたトレンドの裏付けは、テクニカル上ほぼ出そろった格好です。25日線乖離率は+8%台、RSI14は69前後と、+3σ超えという言葉の印象ほどには過熱していません。むしろ注目したいのは200日線乖離率が+27%まで開いた点で、長期線からの距離は相応に伸びています。上場来高値を更新した直後で上方に抵抗のない真空地帯にあるため、意識されるのは下方の節目です。5,260〜5,370円の価格帯には7月6日につけた前の上場来高値、5日線、ボリンジャーバンドの+1σが集まっており、まずはこの帯がサポートに転換するかどうか。すぐ下には25日線が5,130円近辺で控えていますが、そこまで戻すようだと本日の窓なし急騰が丸ごと否定されることになり、上昇シナリオの立て直しが必要になります。
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気になる上場来高値間近銘柄
今日のリストから、個人的に気になった銘柄をピックアップしました。
※あくまで個人の所感です。売買を推奨するものではありませんので、投資は自己責任でお願いします。
AIRMAN(6364)
エンジンコンプレッサや高所作業車を手掛ける建設機械メーカーです。前日、27年3月期の業績予想を一転して増益へ引き上げるとともに自己株式の取得も発表し、ストップ高まで買われました。中期経営計画で総還元性向70%を掲げる方針が示されたことも合わせ、その勢いは本日も続いています。寄り付きから買いが優勢で、後場には2,640円まで上値を伸ばし、上場来高値2,734円まで3%台に迫る場面がありました。終値は173円高の2,546円と高値から100円近く値を消しており、上値では利益確定の売りも出ています。出来高は25日平均の5.05倍。時価総額686億円という規模に対して商いが集中しており、値動きの荒さには相応の注意が要ります。
ココに注目!:25日線乖離率は+30%超、RSI14は82台と、いずれも数字としては極端な領域です。ボリンジャーバンドの±1σ幅は5日前の3.1倍へと急拡張しており、平均値幅率も4%台。日々の振れ幅が大きい状態が当面続く可能性があります。一方で移動平均線の並びは混在のままで、25日線こそ200日線を上抜けたものの、75日線はなお200日線を下回っており、長期トレンドの転換が確認しきれていない状態です。当面の見極めは、本日の上げ窓を埋めて2,373円を下回るかどうか。ここは前日の急騰を受け止めた水準でもあり、短期の勢いが続くかを測る目安になります。その下では5日線が2,170円近辺まで駆け上がってきました。なお25日線は1,960円近辺と現値から20%以上も下に位置しており、そこまで下げる展開は押し目ではなく、上昇トレンドそのものの見直しを意味します。拾い場の候補として同列に並べる水準ではない点は押さえておきたいところです。
EIZO(6737)
14時までのEIZOは、この日の相場からすっかり取り残されていました。前場は2,651円から2,723円という70円ほどのレンジに収まり、指数が4%超の急騰を演じるなかでも動かず、後場に入っても2,662円まで沈む場面がありました。そこへ14時、第1四半期決算が開示されると、残りの1時間半で株価は2,954円まで買い上げられ、199円高の2,896円と大陽線で引けています。高値2,954円は上場来高値3,020円まで2%台に迫る水準で、7月28日から30日にかけての調整をわずか一日で帳消しにしました。出来高は25日平均の2.12倍。電機セクターが総じて買われた地合いも追い風ではありましたが、それが主因なら前場のうちに動いていたはずで、本日の上昇は決算が作ったものと言ってよいでしょう。
ココに注目!: 面白いのは、上場来高値3,020円とボリンジャーバンドの+3σの3,038円がほぼ同じ水準に重なっていることです。この二つを終値で抜けられるかどうかが、次の段階へ進めるかの試金石になります。帯域そのものは5日前とほぼ同じ横ばいですが、中心線は5日前比で+2.8%と着実に切り上がっており、幅は変わらないまま価格帯がひと回り上へ移動しました。方向感は上向きと見てよい状態です。25日線乖離率は+10%超、RSI14は67前後で、過熱の手前にとどまっています。需給面では貸借倍率1.23倍、買残は出来高25日平均の0.5日分と軽く、上値を抑える要因は見当たりません。押し目を考えるなら、2,760〜2,780円の価格帯に5日線とボリンジャーバンドの+1σが重なっており、ここが最初の受け皿です。これを終値で割り込み、さらに25日線の2,630円近辺まで沈むようなら、本日の急騰は一過性のものだったと判断せざるを得なくなります。
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